交通

東海汽船の大型客船2等室はキャンパーなら低予算で快適にすごせる

4.0

東海汽船の大型客船「橘丸(たちばなまる)」の2等室(2等和室)を利用してみたので、感想を書きます。2023年4月末、八丈富士に登るため八丈島を訪れた際に使ってみました。東海汽船の大型客船は何度も利用したことがあるのですが、これまでは2段ベッド・カーテン付きの「特2等室」を選ぶことが多かったのです。

橘丸

一方「2等室」は顔の部分だけがパーティションで隠される、いわゆる「雑魚寝部屋」です(人数は4〜12人と、客室によって様々あります)。運賃は最安ですが、果たして快適に過ごせるだろうか? という不安はありました。

特2等室は間違いのない選択肢なのだが…

ちなみに「特2等室」は、主に東京〜八丈島航路で使われる「橘丸」でも、東京〜神津島航路で使われる「さるびあ丸」でも、2段ベッドが2つある4人部屋です。これまで私が「特2等室」を好んで使ってきたのは、ベッドにカーテンがあってプライバシーを保てるせいもありますが、マットレスのあるベッドでちゃんと睡眠を取りたいというのが最大の理由でした。

■ 下は伊豆大島に行く時によく利用する「さるびあ丸」の特2等室の写真。清潔感・安心感があります。特1等を使ったこともありますが、特2等でも快適性は大きく変わらない印象です

さるびあ丸の特2等室

しかし、よくよく考えるとキャンプ用の寝具を持っているのだから、それを活用すれば雑魚寝の2等室でも快適に過ごせるのではないか、と思い至ったのでした。また、雑魚寝の2等室は何十年か前に友達と伊豆大島に遊びに行く時に使ったのが最後だったので、いま使ってみたらどのように感じるのだろう、という興味もありました。

2等室ってどんな感じ?

というわけで、先の八丈島訪問時は2等室を予約しました。当時の料金で、東京〜八丈島の運賃は特2等なら14,330円。2等室なら9,550円と、5,000円ほど違います(これも今回2等にした大きい理由の1つ)。往復で約1万円違うので、浮いたお金で島でおいしいものをたくさん食べようとも思ったのでした(なお東海汽船はネット予約で20%になるので、是非活用しましょう)。

私の2等客室は、船の3Fにありました。乗船口が4Fだったので、階段で降ります(2等室は4Fにもあります)。下の写真でわかるように、客室自体に扉はなく、中に人がいるのか、何人いるのかわかるようになっています。カーテンなどはなく、プライバシーがほぼ皆無であるかわりに、防犯上都合が良いつくりだと思います。ちなみに女性専用の2等室もあるそうです。

橘丸の二等和室

私にあてがわれたのは、2等室の奥の隅の区画でした。窓のように見える丸いところは、鏡になっています。この時はオフシーズンだったせいか、この8人用2等室には私だけ。大島行きの「さるびあ丸」の場合、4人部屋の特2等室はオフシーズンでも誰かと相部屋になるので、むしろ今回のほうがのんびり過ごせました。

橘丸の二等和室

コインロッカー・コンセントの他、テレビが1台あります。知らない人同士でこの部屋を利用したらチャンネル争いはどうなるんだろう、と思ったりしましたが、グループ以外の利用ではこのテレビは使わないのでしょう。試しに運行状況を表示して眺めたりしました。なお消灯時間になると船室全体が少し暗くなります(八丈島行きの場合は23:30消灯)。

橘丸の二等和室

船室は、係の人が定期的に巡回されているようでした。防犯的な面は安心して良いと思います。

2等室で快適に過ごすためのコツ

さて、問題は快適に眠れるかどうか。床は、そのまま寝ても身体が痛くなったりはしないのですが、ちゃんと睡眠を取るにはちょっと硬いかなという印象。そこでテント泊のために持ってきたエアマットを敷きました。これで十分眠れます。エアマットは、快適性はそこそこながら軽量で安い中華製品を持ってきました。これで天と地ほどの差が出ます。

橘丸の二等和室

船内は毛布をかけなくとも気持ち良く寝られる気温が保たれている印象でしたが、上に掛けるものがあったほうが落ち着くので、貸毛布を借りることにしました(自前の寝袋を使っていた場合、きっと暑すぎると思ったのでやめました)。貸毛布は1枚100円、まず自販機で券を買います。

橘丸の貸毛布券売機

券を買ったら、4Fの案内所に行って毛布と交換してもらいます。案内所には、いつも誰かいます(いない時でも気付いて誰か来てくれる)。

橘丸の案内所

自前で用意したエアマットに貸毛布をひいて、設営完了です。やはり1枚あったほうが寝心地は格段に良くなりました。寒くなくともあったほうが良いと思います。

橘丸の二等和室

自販機は各階にあり、2等室の場合は3F・4Fのものが利用できました。ハーゲンダッツのアイスクリーム、お菓子、カップラーメン、アルコール(要免許証)などが販売されています。貸毛布の券売機もここ。水道もあります。

橘丸の自動販売機

最終的には気持ちよく朝を迎えることができました。東京〜八丈島間は最短10時間20分かかり、この日は時化のため11時間30分かかりました。こういう長い航路こそ良いベッドの特2等室を使ったほうが良いのかもしれませんが、手持ちのエアマットを使うことで快適さは特2等と遜色ないものになりました(貸し切りだったせいもあります)。

■ その後、八丈富士で最高の山歩きを楽しみました↓

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2等室で快適にすごすための最大のコツは、自前でマットを用意することです。キャンプ泊する方には2等室、おすすめです。オフシーズンなら貸し切りだったり少人数になる可能性が高いでしょうし、旅費の節約にもなります。山歩き仲間とのグループ利用ももちろん良いでしょう。相部屋の場合は、アイマスクと耳栓はあったほうが良いですね。

余談ですが、私はもともと乗り物酔いしやすいほうです。それでも大型客船を何度も利用するうちに慣れてきたのですが、今回は航海時間が長かったので寝る前に「アネロン」という乗り物酔い止めを飲んでおきました。時化でかなり船体が揺れる時間が多かったので、飲んでおいて良かったかもしれません。船酔いせずに済みました。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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