山と食

八丈島で地元のおじさんがそのへんのアシタバを採っておみやげにしてくれた

2023年4月の末、八丈島の八丈富士を歩いてきました。八丈島といえば、伊豆大島などと並んでアシタバ(明日葉)の原産地として有名です。伊豆大島では「アシタボ」とも呼ばれます。英語でも”Ashitaba”といい、学名は”Angelica keiskei”。アシタバは「今日葉を摘んでも明日にはまた芽が生えてくる」ほどに生命力が強いことから、そのように名付けられています。

■ 当時の八丈富士ハイキングの記事はこちらです↓

八丈富士:期待を大きく超える光景と歩きごたえ ガイドブックよりも深く長く歩いた最高の一日
八丈富士とは 東京都心から287km南方に位置する八丈島には有名な山が2つあります。ひとつは島の南東部にある標高701mの三原山(別名・東山)。もうひとつはこの記事で詳しく紹介する、東京諸島の最高峰・標高854.3mの八丈富士(西山)...

雑草なみに生えているアシタバ

アシタバは八丈島ではそのへんに雑草のように生えていて、八丈富士登山口の1280段階段を歩いている時も見かけました。下の写真の右側に見えています。

八丈富士のアシタバ

同じ登山道で近寄って撮ってみた写真です。葉っぱがギザギザしています。一説によると八丈島のアシバタには茎が青いものが多く、伊豆大島のアシタバには茎が赤いものが多いそうです。

八丈富士のアシタバ

八丈富士に登った夜、三根地区の魚八亭という海鮮居酒屋さんでアシタバの天ぷらを食べました。アシタバの天ぷらというと、一人ではとても食べ切れないほどの量で出てくることが多いのですが、このお店ではハーフサイズを出してくれたので助かりました。もちろん美味しかったです。おひたしにしても、チャーハンに入れても美味しい。

アシタバの天ぷら(八丈島・魚八亭)

アシタバはセリ科の植物なので、独特のさわやかな苦味があります。セロリやニンジン、ウドやタラノキもセリ科。仙台の「せり鍋」や韓国の「テグタン」といった料理で使われるあのセリもアシバタの仲間です。嫌いな人は嫌い、好きな人は大好き。もちろん私は大好き。お酒を飲む人なら好きな人は多いと思います。アシタバは伊豆大島でも必ず食べます。

アシバタには体内でビタミンAに変換されるβカロテンのほか、抗炎症作用のある「カルコン」というフラボノイドが豊富と言われています。整腸や強壮にも良いそうです。ミネラルも多い。

以前訪れた伊豆大島の郷土資料館では、アシバタには「ちんこだちそう」という別名もあることを知りました。インターネットで検索しても出てきませんが、こういうおもしろい呼称は文化なので、残り続けてほしいところです(コンプラの問題からこういう呼称を隠そう・消そうという動きがあるかもしれませんが、こういうものは絶対残しておいたほうが良い)。

地元のおじさんとアシタバ狩り?へ

さて、八丈富士登山の翌日。帰京前に底土野営場の近くで散歩していたら、地元のおじさんと仲良くなり、島の話をいろいろ聞かせていただきました。

アシタバの話になり、おじさんはそのうち「へぇ、アンタ、アシタバ好きなのか。じゃ、ちょっと付いてきなよ。」と言いながら近くの藪の中に入っていきました。おじさんは、ほらここにアシタバがあるだろう、ここにもあるね、種が飛んできて、あちこちに生えるんだよ、と言いながら、葉を摘みはじめました。私にはどこに生えているかさっぱりわからなかったのですが、おじさんは次々と見つけていきます。

■ 八丈島からの帰路、東海汽船・橘丸の二等室で撮った野生のアシタバ

八丈島の野生のアシタバ

アシタバでふつう食用にするのは、まだ開ききっていない若い芽だそうです。おじさんは5本の茎を採り、「ほら、もって帰って食べろ」。

私はキャンプ泊だったので、運良くジプロックバッグを持っていました(ゴミ袋として登山でも活躍します)。それに入れて、ありがたくいただいて持って帰りました。八丈島のものを自分で勝手に採って帰ったら問題なのかもしれませんが、地元のおじさんがくれたので良しとします。

帰宅後、少量を生でかじって味わってから(香りが強くて素晴らしかった)、ゴマ油で炒めて麻婆豆腐の具にして食べてみました。やっぱりうまい。クセと主張の強い味なので、麻婆豆腐にしても素材負けしません(ちょっと変わった料理にはなりました)。

おじさんは「根から掘り返して、土を付けたままビニール袋に入れて持って帰って、植えておけばどんどん増えるよ」とも言っていました。さすがにそれは持ち帰るのが大変そうなので遠慮したのですが、食べながら、いや〜、こんなことなら株ももらっておけば良かったな、と後悔しました。ジプロックは数枚持っていたので、その気になれば持って帰れたのです。

まぁ、八丈島は三原山登山でまた行くつもりなので、その時に現地で食べられたらと思います。八丈島は、八丈富士で1日、三原山で1日、島内観光で1日と、最低でも現地に3泊くらいしないと全貌をつかめない感じがしました。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

ヤムパパーをフォローする
やまうぉーくYAMAWALK
タイトルとURLをコピーしました