東京都のキャンプ場キャンプ場紹介・利用体験記

三宅島の大久保浜キャンプ場に泊まってみた感想:不便さはあるものの浜辺から見える伊豆諸島と星空が素晴らしく、水も美味い

三宅島(東京都)の「大久保浜キャンプ場」を利用してみたので、施設の特徴や現地の模様、実際に宿泊してみた感想などを書いてみます。なお本記事時点で三宅島で宿泊可能なキャンプ場は、この大久保浜キャンプ場のみとなっています。

大久保浜キャンプ場

三宅島は伊豆諸島では伊豆大島・八丈島に次ぐ3番目の大きさで、大島にも劣らない火山景観が魅力。島の中心にある雄山(おやま・775m)は直近では2000年に噴火(水蒸気爆発)したこともあり、現時点では登ることはできないのですが、島にはハイキングに適した名所が他にたくさんあります。テント泊もされてみたい方は、大久保浜キャンプ場を利用してみてはどうでしょうか。

大久保浜キャンプ場の利用方法

まず手短に大久保浜キャンプ場の利用方法をご紹介します。利用可能期間は4月1日〜11月30日までの期間限定です。また日帰り・宿泊問わず、指定区画を利用する際は事前予約が必須です。

予約は三宅島観光協会のサイトからのみ可能(「なっぷ」という予約サイトへのリンクがあります)。リアルタイムで空き状況を確認でき、1〜22番まである区画の中から、未予約の好きなところを選んで予約できます。

大久保浜キャンプ場

料金は1区画・1泊あたり500円。チェックインは13時以降、チェックアウトは11時まで。また1区画のサイズが3mx3mなので、テントに加えてタープを併用したり、大型テントを使いたい場合は複数区画分を予約する必要があります(現在は1〜22番まで、あいだ1区画飛ばしで予約できるようになっており、たとえば「1と3」を予約すると「1・2・3」の3区画分を利用できるようになっています)。

また東海汽船の大型客船(橘丸)で来島する場合、港への到着が朝の5時になるのですが、午後1時前にチェックインしたい場合は前日分からの予約が必要になります。

予約サイトで申し込み、クレジットカードで支払いを済ませたら後はメールでのやり取りなどはありません(予約時は与信チェックのみで、実際の課金は宿泊終了後にメールでお知らせが来ます)。その後、現地にある「利用許可証」に必要事項を書き込み、それをテントの目立つところに貼っておくだけで利用可能となります(後ほど詳しくご紹介します)。

担当者の方とのやり取りは、ありません。

大久保浜キャンプ場へのアクセス

大久保浜キャンプ場へのアクセス情報です。島の北側の神着(かみつき)地区にある「大久保浜園地」に存在するのですが、4ヶ所ある大久保浜への入口は、少しわかりにくいかもしれません。

■ 大久保浜キャンプ場付近の地理院地図(拡大・縮小できます)。プラスの記号のあるあたりがキャンプ場の位置。浜の東側です。

ただ「大久保浜に下っていく」と考えて行動すれば、問題なく到着できるでしょう。大型客船は西の伊ヶ谷(いがや)港・同じく西の錆ヶ浜(さびがはま)港、または東の三池(みいけ)港のいずれかに寄港するのですが、朝5時の到着になるので道が暗く、迷いやすいかもしれません。下の写真は早朝の大久保浜。キャンプ場は写真の中心近くです。

早朝の大久保浜

基本的な考えとしては、三宅島一周道路で島の北部(神着地区)に向かい、そこから大久保浜を目指します。バスならバス停「大久保浜・小中学校前・神着・焼場」から浜に下りていく道があります。とにかく大久保浜へ。間違って「三宅村交通公園」などに降りると苦労します(経験者談)。「キャンプ場はこちら」といった感じの親切な案内板はないのでご注意。

バスは「大久保浜」下車がいちばん近いです(浜辺まで下りてきてくれます)。

大久保浜キャンプ場に泊まってみた

ここからは2023年10月下旬、筆者が実際に大久保浜キャンプ場を利用した時の模様をお伝えします。私はバス停「三宅小・中学校」近くから浜に下りていきました。まず、下がキャンプ場の全景。横に長〜いキャンプ場です。屋根のある構造物の真ん中あたりからテント区画となり、写真の左端ギリギリまで横長に続いています。私の利用時は、13グループまでテントを張れるようでした。

大久保浜キャンプ場

下がキャンプ場の地図。これは予約サイトからも確認できるので事前にチェックしておきましょう。筆者が利用したのは「5」という番号の区画です。背景がグレーになっている数字の区画は、今のところ予約できません。

大久保浜キャンプ場のテント区画

ちょっとした雨なら凌げる良い感じの屋根があるのがありがたいです。テント区画の近くにテーブルとベンチもあるので、食事の用意などもしやすいです。

大久保浜キャンプ場のテント区画

下のテーブルの右手前あたりが、筆者が予約した「5」番区画でした。

大久保浜キャンプ場のテント区画

私はこの日タープのみで泊まったのですが、1区画が3mx3mと狭めなのでガイラインが少しはみだしてしまいました。隣接する区画はいまのところ他に利用者はいないことになっているので、適切に配慮すれば問題なさそうです。しかし他の区画の利用者の方が近くを歩かれる時にガイラインに足をひっかけてしまわないか、少し心配でした。

大久保浜キャンプ場のテント区画

下が筆者のタープ。この日はアライテントの「トレックタープBeyond」で設営。これにした理由は、どうやら三宅島は星空がきれいそうだと思ったから。タープなら星を眺めながら眠ることができます。

大久保浜キャンプ場の5番区画

地面は小石も少なく、整地の必要はほぼありませんでした。10月下旬の利用でしたが、蚊は少しだけいたものの大したことはなかったです。ダニはいたかもしれません。

下の写真は、いちばん東寄りにある「22」番区画です。ここはプライバシーを重視してゆっくりしたい方には向いていると思いますが、後ろ側の茂みが迫っており、タープ泊の場合は虫が多く出そうな気がしたのでやめておきました。テントならここも良いですね。ただしトイレからはいちばん遠い区画になります。

大久保浜キャンプ場の22番区画

下はトイレの外観です。キャンプ場の入口・西寄りにあり、男性用・女性用・誰でもトイレが揃っています。トイレ右にはシャワーがあり、左には分別ゴミ箱があります。

大久保浜キャンプ場のトイレ

多目的トイレの様子です。清潔でした(この日は男性用トイレが不気味な汚れ方をしていたので、こちらを使わせていただきました。詰まりやすいトイレなのかもしれません)。

大久保浜キャンプ場の誰でもトイレ

さて、トイレの前には「大久保浜キャンプ場利用許可証」と書かれたボックスがありました。

大久保浜キャンプ場 利用許可証ボックス

この中に「利用許可証」と油性マジックペンが入っているので、自分のテント区画番号と予約番号の下4桁を記入します。隣にいたカタツムリ君と一緒に撮影。

大久保浜キャンプ場 利用許可証

この利用許可証を「テントの目立つところに貼る」のがルールなのですが、ここで大事な注意点。この許可証、シールの粘着力がとにかく強力なので、テントにベタッと貼ってはいけません! 剥がすのに大変苦労します。剥がす時のことを考えて、一部分だけ接着する感じにしたほうが良いと思います。私はガイラインに巻きましたが、剥がす時はハサミを使う必要があったほどです。

大久保浜キャンプ場 利用許可証

■ VICTORINOXのマルチツールを持っていなかったらこの許可証は全く剥がせなかったと思います。持ってて良かった… とにかく半端ない粘着力でした。生地の薄いテント本体には絶対に貼らないほうが良いです。

トイレの近くにキャンプ場利用のルールがあるので、よく読みます。非常に常識的な内容で、焚き火は直火不可・焚き火台を使用するなら可。1日に何度か、関係者の方がクルマで見回りにいらしていた印象がありました。

大久保浜キャンプ場 利用のルール

シャワーがあるのは大変ありがたいですね。ただし外からは丸見えです。この向こう側には女性用シャワーがあります。水着での利用が前提ですね。

大久保浜キャンプ場のシャワー

下は炊事場の様子。私がすごくいいなと思ったのは、水が美味しかったこと。なんだか硬水寄りの味でした。三宅島には「大路池」という伊豆諸島最大の池があり、そこから水を引いているという説があります。フランスのミネラルウォーター「コントレックス」を思わせるような口あたりで、驚きました(そこまで硬くはないものの、はっきり硬水とわかる味です)。

大久保浜キャンプ場の炊事場

水以外に大久保浜キャンプ場で感動したのは、北西に見える伊豆諸島の姿です。左から神津島・式根島・新島・利島・大島がずらりと横一列に並んでいるのが見えるのです。これは三宅島でしか見られない風景ではないかと思います。新島の白い断崖が神々しいほどの美しさです。これを見れただけでも、このキャンプ場に来て良かったと思いました。

大久保浜キャンプ場から見た伊豆諸島 width=

すぐ眼の前は、スコリアの黒い砂浜。そして夜は、波の音に耳を済ませながら、期待通りに満点の星空を眺めることができました。流れ星もたくさん見ることができました。キャンプ場では夜間にライトが点灯するのですが、それでも十分に美しい星を観察できます。砂浜にマットを持って行って寝転がって眺めるのも良いと思います。風も心地良かったですよ。

大久保浜

ちなみにキャンプ場の東側から三宅島一周道路に出る時、こんな激坂を歩くことになります。この坂の上にも見晴らしの良い場所があったので、散歩してみてください。

大久保浜キャンプ場から三宅島一周道路に至る道

この坂の先で三宅島一周道路に出ることができるのですが、バス停「神着」と「焼場」の2ヶ所に至る道があるので注意しましょう。バス停「神着」方面には「すぎやま運送」さんがあり、そこ宛にあらかじめ荷物を送っておき、受け取ることもできるそうですよ。

大久保浜キャンプ場から三宅島一周道路に至る道

最後に、このキャンプ場の利用にあたって最大の注意点を記します。それはカラスの存在です。三宅島は人馴れしたカラスが本当に多く、キャンプ場にもたくさんいました。食料のバッグやゴミの入った袋を放置しておくと、すぐカラスがやってきて散らかしてしまうそうです。

大久保浜キャンプ場のカラス注意貼り紙

私はこの日タープのみだったので、キャンプ場から離れる時は食料バッグを放置して出かけることができませんでした。あと野良猫(地域猫?)もいて、私がトイレに行っているあいだにタープの下に入って食べ物を探していました。ここに拠点を構えて島を歩く時や近所を散歩する時は、食料やゴミ袋は必ずテントの中にしまっておく必要があるので注意してください。

三宅島のカラスはあまりに印象的だったため、個別の記事を書いてしまったほどです

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まとめ

大久保浜キャンプ場を実際に利用してみて思ったのは、港からやや遠く、早朝着の大型客船で来島する場合はアクセスに苦労するかもしれないこと、テントサイトは区画が狭めで他のキャンパーさんの動線に配慮してガイラインを張る必要があったりと、気を使うところがありました。カラス対策も必要だったりと、やや利用難易度(?)の高いキャンプ場かなと思いました。

スーパーは近所に「ヤマシタ」さんがありますが日曜定休。そこからかなり離れたところに全日食チェーン系の「正大」というお店もあります(こちらは無休で9時〜20時まで営業)。正大ストアさんは歩いていくと結構遠いです。下は筆者が夕食の買物に訪れた正大ストア(あてにしていた近所の居酒屋さんが臨時休業だったため、買い出しに行きました)。

正大ストア

後日、11月に大久保浜キャンプ場を再訪しました。その時「ヤマシタ」さんにも行ってみました(写真下)。ヤマシタさんは鮮魚が強く、正大さんは肉に強い印象がありました。ヤマシタさんは近所なのでとにかく便利。正大さんはお惣菜が充実しているのがありがたい

ヤマシタ

飲食店も近くにはあまり多くない印象でした。あと焚き火の燃料は、そのへんで結構豊富に入手できる感じです(キャンプ場には炭捨て場もあります)。ちなみにコインランドリーを神着地区の東側で見かけたので、数日間のキャンプで助かりそうです。

移動にはレンタルバイクやレンタサイクル、あるいは自前の折りたたみ自転車などを持ってきて使ったほうが行動はしやすいように思いました(三宅島は坂が結構多いので、レンタルするなら電動タイプの自転車を借りたほうが良いかもしれません)。自分のオートバイを船のコンテナで運んでもらうのも良いと思います。

不便なところもあったものの、このキャンプ場から見える伊豆諸島の美しさ、黒い砂浜、星空の美しさ、お水の美味しさなどは感動しました。ジオトレッキングやバードウォッチングなどで三宅島を訪れる際は、利用してみてはどうでしょうか。ゆっくり拠点を構えて、3泊はしたいなと思いました。なお冬は11月末日までの営業なので、年内の来訪を計画されている方はお早めに。

三宅島観光協会の関係者の方々、使わせていただいて本当にありがとうございました。また利用させていただければと思います。

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著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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