東京都のキャンプ場キャンプ場紹介・利用体験記

羽伏浦キャンプ場に泊まってみた感想:規模・設備・環境ともに伊豆諸島で最高クラスで感動した【東京都新島村】

5.0

新島(東京・伊豆諸島)の羽伏浦(はぶしうら)キャンプ場の利用体験記事です。2023年12月現在、新島でキャンプ可能な場所はここだけ。隣の式根島(新島村所属)のキャンプ場は、コロナ以降現在まで休業中です。最初に大きい感想をお伝えすると、伊豆諸島のなかでは広さ・環境・設備ともに最も充実した素晴らしいキャンプ場でした。

新島羽伏浦キャンプ場

羽伏浦キャンプ場の利用方法

まず羽伏浦キャンプ場の利用方法について。2023年11月1日〜2024年3月31日までは予約不要です。来年4月1日以降(春〜秋)は予約が必要になるはずなので、その時はあらためて羽伏浦キャンプ場公式サイトをチェックしてみてください。

予約こそ不要ですが、キャンプ場に隣接する「新島村スポーツ広場クラブハウス」で利用申請書を提出する必要はあります(その場で住所氏名などを書きます)。クラブハウスは木曜休館なのですが、チェックインが木曜になった場合は翌日の申請でもOKとされています。期間限定とはいえ、予約不要で思い立った時に行けるのは大変ありがたいですね。

1日の利用定員は100名。利用料金は、上述の期間についてはなんと無料です。

羽伏浦キャンプ場へのアクセス

羽伏浦キャンプ場は新島の東、羽伏浦海岸のそばにあります。東海汽船の大型客船は100%西の新島港に寄港するので、その場合は都道211号線(新島本道)で本村(ほんそん)の町中に入っていき、新島空港方面を目指して道なりに行くと、考えなくてもたどり着けます。それが最短ルート。

新島羽伏浦キャンプ場・全体図

■ 羽伏浦キャンプ場付近の地理院地図(拡大・縮小できます)。プラスの記号がキャンプ場の位置。黄色い道が新島本道です

ジェット船も基本的に新島港発着なのですが、海況によっては北部の渡浮根(とぶね)港(若郷漁港)が使われることもあります。その時は臨時バスが出るので「スポーツ広場前」で下車します。北部の若郷地区と本村とを繋ぐ「平成新島トンネル」は、歩行者・自転車が通行禁止なのでバスかタクシーを使う必要があります。

羽伏浦キャンプ場に泊まってみた

筆者は2023年12月初頭にはじめて羽伏浦キャンプ場を利用しました。東海汽船の「さるびあ丸」で東京・竹芝桟橋を22:00に出発、翌朝8:35に新島港(地元では前浜港と呼ぶ)に到着しました。

 新島港とさるびあ丸

道標を頼りに新島本道で本村のメインストリートに入り、そこから新島空港前を経てキャンプ場へ。大きいアップダウンのない、ほぼ平坦な道です。

羽伏浦キャンプ場への道

やがて左手にキャンプ場入口が見えてきます。ところどころに案内板があるので、ここまで迷うことはないでしょう。

羽伏浦キャンプ場への道

ここは「羽伏浦キャンプ場」と「石の動物園」と「新島スポーツ広場」の3つがかたまっている場所になります。

いしのどうぶつえん

入口の先にすぐクラブハウスが見えてくるので、ここでチェックインします。スタッフさんはとても親切で、この日開催されていた音楽イベントやBBQパーティーにぜひ参加していってくださいね、お待ちしていますよ、と優しくお声をかけていただきました。飲料の自販機も1台ありました。

羽伏浦キャンプ場の受付

クラブハウス付近からキャンプ場に至る小道が3つほどあり、どこから入っていっても良いです。まず目に飛びこんできたのは、この広大な敷地! 雰囲気やレイアウトは八丈島の八丈プラザ公園キャンプ場に少し似ていて、あれを4〜5倍くらいに大きくした感じです。すさまじい開放感。

羽伏浦キャンプ場

西側に大きい炊事舎がありました。カラス注意、の張り紙がありましたが、三宅島ほどの数のカラスは見かけませんでした。しかし可愛い野良猫がたくさんいるので、食料の管理は必要です。

炊事舎

こちらは正式に貸し出されているものかどうかは不明ですが、どうぞご利用ください、という感じのフライパンが多数ありました。いつもあるのかどうかは不明ですが、私の利用時に限って言えば焚き火台も調理器具もテーブルもなくても料理できるくらいの環境でした。

炊事舎のフライパン

炊事舎以外に、バーベキューを楽しめる「かまどテーブル」もありました。これは夏なら大人気のテーブルでしょう。

かまどテーブル

ゴミは分別して捨てられるので助かります。これ以外にも繁忙期用の立派なゴミ箱が他にたくさんありました。

ゴミ箱

トイレは男女別のほか誰でもトイレもあり、下の写真以外にも繁忙期用のトイレがもう一棟ありました。規模の大きさが想像できるのではないでしょうか。建物に使われているのは新島のコーガ石だと思います。

トイレ

トイレは立派で清潔です。

だれでもトイレの内部

トイレの隣にはシャワーもあります。ただし冷水のみ。外からは丸見えなので、夏場に水着で利用する感じですね。

シャワー

さて、どこにテントを張ろうかな?(贅沢な悩み) あまりに広すぎるので、場内を一周する道を散歩しながら検討することにしました。八丈プラザ公園キャンプ場のように、山に向かってだんだん高くなっていく地形です。

羽伏浦キャンプ場のテントサイト

海が見えるこのいちばん上のサイト、開放感があって良いですね。こんなところにまで流し台があるのが驚きです。

羽伏浦キャンプ場のテントサイト

このテラス状になったところ(右側)も捨てがたい。朝起きてこの海が見えたら最高だな、でもトイレがちょっと遠いかな…

羽伏浦キャンプ場のテントサイト

この日はなんと完ソロだったので、どこを選んでも良かったので悩みました。しかし下の木を見て、あ、ここは風が強すぎるかもしれないな、と思いました。新島の西風の強さは話に聞いていました。

羽伏浦キャンプ場のテントサイト

場内をぐるりとまわり、一度入口近くまで戻りました。するとサイトの区画表示用と思われる番号札が、物置裏に固まって置かれていました。夏は予約制となり、きっとこれが配置されるのでしょう。焚き火をする場合は、消火器がここにあるのは覚えておいたほうが良さそうです。

羽伏浦キャンプ場のテントサイト

悩んだ挙句、キャンプ場入口から見て左手の木陰にある小さいテラスにテントを張ることにしました。

羽伏浦キャンプ場のテントサイト

流し台とテーブルがすぐそばにあり、トイレもそれほど遠くありません。かまどもすぐ近くにあるのでそこで料理もできそうです。

流し台

この日はDoDのライダーズワンポールテントを設営。二泊三日の新島探検の拠点です。注意点として、新島の土は非常に柔らかく砂状なので(コーガ石は脆い)、ペグは長いものを使ったほうが良いです。短いペグだと強風で抜けてしまいます。設営中も一時、風と格闘しました。

DoDライダーズワンポールテント

テントを張り終えたら、少し近場の観察に出かけました。キャンプ場の向かいには羽伏浦公園があり、海岸に抜けられます。

羽伏浦公園

やがてたどり着く「羽伏浦海岸メインゲート」は写真映えのするスポット。ちらと見えている海の色が既にヤバい。

羽伏浦海岸メインゲート

どうですか、息を呑むようなこの海の色。エメラルドグリーンとコバルトブルー! 向こうにうっすらと見えている大きな島は、三宅島です。私は以前、三宅島の大久保浜キャンプ場からこの海岸を眺めたことがあります。羽伏浦キャンプ場と大久保浜キャンプ場は向かい合っているわけです。三宅島から見える新島の白い断崖は、まさにこのあたりなのです。

羽伏浦海岸

ご参考までに下の写真は、大久保浜キャンプ場から見た伊豆諸島。中央の少し右寄りの島の、白っぽく見えるところが新島の羽伏浦海岸付近(白ママ断崖)です。

大久保浜キャンプ場から見た伊豆諸島 width=

キャンプ場の近くにスーパーや飲食店はないので、その後、新島港寄りの「新島ストア」で買い出しをしました(写真下)。新島ストアは入口の駐車場が自動車整備工場のような雰囲気なので、わかりにくいかもしれません。他に「新島マルマンストアー」というスーパーもあります。大きいスーパーはその2つ。自炊される方は場所を調べておきましょう。

新島ストア

筆者の滞在中、新島は風がものすごく強かったので焚火は少し暖を取る程度の小さい火で、安全確認を念入りにしつつ行いました。

羽伏浦キャンプ場での焚き火

村の食堂や居酒屋さんでも食事しましたが、ここでソーセージを自前のフライパンで焼いたりもしました。持ってきた焚き火台は出番なし。薪は、良い感じの自然のものが潤沢に手に入りました。

羽伏浦キャンプ場での調理

夜がふけるにつれ、風がどんどん強くなっていきました。なるほどこんなに風が強いと波が立って、サーフィンには良いのでしょう。テントの設営は念入りに、ガイラインもしっかり張っておく必要があります(テントが壊れないかと心配するくらいの風)。あと星も大変きれいでした。

羽伏浦キャンプ場の夜

これは翌朝、キャンプ場の北方面を眺めたところです。テントのすぐそばにかまどと流し台があるのが見えるでしょうか。ここは実用的で快適な区画でした。

羽伏浦キャンプ場の朝

このキャンプ場には数匹の野良猫がいて、黒猫ちゃんと仲良くなりました。

羽伏浦キャンプ場の黒猫

とても人懐っこく、トイレに行って戻る時はなぜか必ず追いかけてきます。健康状態は良さそうで、みんなに可愛がられているようでした。少しお年なので長生きしてきたのでしょう。黒猫が多かったように思います。

羽伏浦キャンプ場の黒猫

まとめ

オフシーズンに限った話ではありますが、予約不要かつ無料でこんなに素晴らしい施設を使わせてもらっていいのか、と感動しました。飲食店やスーパーがすぐ近くにないところは不利ですが、それを除くと100点満点のキャンプ場です。伊豆諸島のキャンプ場のなかでは最高レベルの居心地だと思います。ただ、強風対策はしておきましょう。

キャンプ場から遠くない羽伏浦海岸

キャンプ場から遠くない羽伏浦海岸

新島には標高の高い山はないのですが、石山トレッキングコース・向山ハイキングコース・富士見峠コースと低山ハイキングを楽しめます。各所の展望台から見える海の色がとにかく美しく、感動しました。

石山ハイキングコースから式根島と神津島を望む

石山ハイキングコースから式根島と神津島を望む

羽伏浦キャンプ場での滞在を含めて、本当に良い時間を過ごせました。本村の飲食店もおいしいお店ばかりだったので、またゆっくりしに行きたいと思います。

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著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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