山の動植物山で暮らす

カメムシ数十匹に一匹の比率で混じっているデカくて細長いやつ、実は益虫【オオトビサシガメ】

山好きが昂じて、田舎の山奥に廃屋を借りています。永続的にここに引っ越してくるかどうかはまだ決めていないのですが、とりあえず家を手入れしながら、山歩きの拠点にする別荘のつもりで使いはじめました。すると噂には聞いていましたが、カメムシ(クサギカメムシ)の大量発生問題は本当に深刻なものなんだなぁ、と心底痛感しました。

クサギカメムシ 屁さえこかなければいても構わないのだが…

カメムシ数十匹に一匹だけ混じっているデカいやつ

さて、下はその廃屋の物置のガラス窓の写真です。気温が急激に上昇した4月のある日、物置内で越冬したと思われるカメムシが目を覚まして、ガラス窓に光を求めて集まってきていました。するとカメムシ数十匹に一匹、といった感じの比率で、何やら大柄な虫が混じっていることに気付きました。赤い丸で囲んだところにいるやつです。

オオトビサシガメ

この虫、大きいけれどカメムシよりも華奢で体重も軽いのではないか、という印象を受けます。こんなふうに蜘蛛の巣やちょっとしたホコリにぶら下がって死んでいる個体も、たまに見かけます。なんとなく間抜けでヘンな虫だなぁ、と思っていました。存在感はあるけれど、正直なんか弱そうです。

オオトビサシガメ

しかしある日、こんな衝撃のシーンを目撃したのです! 布団カバーの上で休眠中(仮死状態)と思われる仰向けのカメムシに、あの虫が口吻をぶっ刺しています。こ、こいつは捕食者、プレデターだったのか… しかもカメムシの体液を吸ってやっつけてくれる益虫じゃないですか!!

オオトビサシガメ

クサギカメムシの体液を吸っているオオトビサシガメ iPhone SEで撮影

調べると、これはオオトビサシガメ(Isyndus obscurus)と呼ばれる虫のようです。カメムシ目の昆虫なので、一般的なカメムシとは親類関係にはあるようですが、全然関係のない虫のように見えますね。

オオトビサシガメ

撮影機材:OLYMPUS E-M5MarkIII 12-45mm F4.0

こうやってクローズアップで見ると、かなり可愛らしい顔をしています。クサギカメムシと違って、それほど逃げ回ることもなく動きもスローです。ただし人間が刺されても相当痛いらしいので要注意ですね。カメムシほどではないですが、一応飛びます。

オオトビサシガメ

このオオトビサシガメ、特に臭くもありません。そのためクサギカメムシを食べ尽くしてくれたらありがたいんだけどなぁ、と思ったのですが、調べると一匹のオオトビサシガメが食べるクサギカメムシの数は、多い時でも1〜2日にわずか一匹なのだそうです。するとクサギカメムシの退治に大きく貢献してくれるかどうかは微妙です。

オオトビサシガメがクサギカメムシを捕食している先のシーンを目撃してから、私はクモ同様にこの虫は大事にすることにしました(クモも益虫)。普段から虫は殺さないのですが、田舎の山で暮らすとなるととてもそうはいかないことがわかります。クサギカメムシは数が増えすぎた段階でまとめて捕獲・駆除しているのですが、オオトビサシガメは捕獲せずにそのまま放置しています。

タイトルとURLをコピーしました