山の動植物

ニホントカゲとニホンカナヘビ(埼玉・日和田山と焼山にて)

ニホントカゲ(日和田山)

5月中旬のカラッと晴れた日。日和田山(埼玉県日高市)の男坂で、いつもと違う下り方はできないかと、あまり人が通らないルートの岩を触っていたら、足元で何かがシュッと動きました。岩の下にある小さい穴から、ニホントカゲが出たり入ったりしています。

ニホントカゲ

トカゲとカナヘビはよく似ているのですが、尻尾が青かったらニホントカゲだと考えて間違いないそうです。幼体はみんな尻尾が青い。オスの場合は、大人になると尻尾は褐色になります。メスは幼体色のまま成体になることもあるそうです。

ひなたぼっこが好きなのか、積極的に岩の上や木漏れ日の中にやって来ます。狭い範囲で10匹くらいは見たので、男坂だけでも相当数が生息しているものと思われます。日差しがよく当たる南向きのこの岩場は、彼らには最高の棲み家なのでしょう。

ニホントカゲ

こちらは別の個体。ニホントカゲは体表に艶があり、テカテカと光っています。ニホンカナヘビは肌が乾いていてマットなところも大きい違いとされます。

ニホントカゲ

この日の撮影機材は望遠ズーム1本のみ(マイクロフォーサーズの75-300mm)。咄嗟にカメラを足元に向けたものの、最短撮影距離1.5m・最大倍率0.18倍のレンズなので、トカゲサイズの生き物にはあまり向いていないかもしれません(カモシカなどには良い)。脅かさずにゆっくり近付けば簡単に逃げる様子でもなかったので、寄れる標準ズームならより精細な写真が撮れたかもしれません。

ニホンカナヘビ(焼山)

一方こちらはニホンカナヘビ。5月上旬、焼山(埼玉県横瀬町)近くで撮ったものです。たまたまスポットライトが当たっているところで静止してくれたのですが、周囲は枯葉の積もった薄暗い環境でした。ニホンカナヘビはこうした日陰を好むものらしいです。レンズを向けられていることに気付くと、数秒こちらの様子を窺っていました。ニホントカゲよりも好奇心が強いように思われました。目力も強い。

ニホンカナヘビ

目を横切って胴体へと伸びる黒褐色の線。目の下から始まって耳の下を通り、腹のほうに伸びていく同じ色の線。その中間に黄白色の線があります。これもニホンカナヘビの特徴と言われています。しかし瞬時に模様で判別するのは難しい。艶の有無を見たほうが早いです。ヌラヌラかガサガサか。ガサガサならカナヘビ。

下などは見事な保護色で、カサカサという音が聞こえなかったらどこにいるのかわかりません。ちなみにこの日のレンズも、上のニホントカゲの時と同じ75-300mm(参考までにカメラ本体はOLYMPUS E-M5 III)。暗いレンズであり、環境も暗かったため、追跡するのに苦労しました。

ニホンカナヘビ

ニホンカナヘビは一般に尾の長さが体長の2/3以上を占めるらしいのですが、この個体の尾にはそこまでの長さがあるようには見えません。しかし模様と生息地、何より艶のない乾燥肌からして、やはりニホンカナヘビでしょう。よく似ているのに、トカゲは陽を好み、カナヘビは陰を好むのがおもしろい。

ニホンカナヘビ

このカナヘビ君は私同様、ソロでの活動だったようです。このあと彼は武甲山方面に向かい、私は横瀬二子山へ向かったのでした。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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