山の動植物

ミヤマアカネ(埼玉・棒ノ折山にて)

8月初旬、埼玉県と東京都の境にある棒ノ折山(棒ノ嶺)山頂にてアキアカネ(俗名「赤とんぼ」)の群れに出会ったのですが、別種のミヤマアカネもわずかですが見かけたので写真を何枚かご紹介します。アキアカネについてはこの記事で紹介しています。

ミヤマアカネ

ミヤマアカネとコフキトンボのメス(オビトンボ型)の違い

ミヤマアカネ(深山茜)の大きい特徴は羽に入った太い褐色の帯なのですが、2タイプいる「コフキトンボ」のメスのうち「オビトンボ型」と呼ばれるほうにも同様の帯があります。

ミヤマアカネ

どちらも良く似ているのですが、ミヤマアカネは胸部側面に模様がほとんどなく、オビトンボの身体はオニヤンマのようなやや攻撃的な黄色と黒が特徴的です。私が見たのはミヤマアカネに間違いないでしょう。このような帯が入った羽のトンボは、日本ではミヤマアカネとオビトンボの2種だけと言われています。

ミヤマアカネのオスは成熟すると赤くなり、メスは少し濃いオレンジ色になるそうです。小さい時はオスもメスも上のような色。この個体は、副生殖器が見えないのでメスでしょう。

沢生まれ山頂育ち?

Wikipediaによると「他のアカネ属の仲間が止水性であるのに対し、本種は小川や用水路などの水深が浅く緩やかな流水域を好む傾向があり、池や沼のそばでは本種を見かけることは少ない。羽化後は羽化水域近くの、ススキやアシ等の群生したやや背丈の高い草むらに移動し、体が成熟するまでそこで摂食活動を行う。」とあります。

まさに棒ノ折山の白谷沢で孵化し、山頂に移動してきたのでしょうか。棒ノ折山の山頂は、ススキやアシが生い茂るカヤトなのです(棒ノ折山の名前の由来は「草がぼうぼう生えている尾根=おね=おれ=ぼうのおれ…」ということのようです)。

ミヤマアカネ

この日は猛暑だったので、ミヤマアカネもアキアカネたち同様にオベリスク姿勢(腹部挙上姿勢)を取り体温を下げているようでした。

ミヤマアカネ

この日は清涼感を求めて沢登りのある棒ノ折山にやって来ていたのですが、結局はゴルジュ以外の場所はどこを歩いても蒸し暑く、熱中症寸前。山頂に着いた頃にはヘトヘトでした。今日はもっと高い山に行っておけば良かったかなぁ、と思いはじめた時にこれらトンボの群れを目にし、あぁやっぱり来て良かった、と思ったのでした。

撮影データ:OLYMPUS OM-D E-M5 III / M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO(クローズアップの画質が良く見えるほうはこのレンズ) / 2022年8月8日

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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