2023年4月初旬、埼玉県・秩父の地味でキツい山・矢岳を歩いていたら、カタクリの群落に遭遇しました。先日は狂気岩峰・秩父二子山でもカタクリを見かけたので、今春2度目の出会いです。
鞍部の日当たりの良い斜面で会える
場所は矢岳ルート上の大反山(おおぞりやま・854m)を下った先にある「クタノシタクノビレ」という鞍部で、その先にある鉄塔69号に至る日当たりの良い斜面でした。下の写真がクタノシタクノビレで、この付近の斜面ですが、足元を注意して見ないと気付きにくいです。
下の地理院地図の十字がある箇所です。853.7mが大反山、962mが鉄塔69号から登ったところにある「コトガミ沢の頭」。中間の落ち窪んだ地形になっているところがクタシタノクビレ。
カタクリは撮影者泣かせ
カタクリは英語で「日本の子鹿ユリ(Japanese fawn lily)」と呼ばれるように、シカの耳のかたちを思わせる薄茶色の混ざった2枚の葉が特徴的ですが、地面に出てくるのは1枚づつなのか、下の写真のような葉が斜面にたくさん出ていました。葉が地上に出ている期間は2ヶ月、開花は2週間のみという春植物です。
葉っぱ自体は数えられないほど生えていましたが、発見できた花はこのクタシタノクビレで5〜7つくらいでした。10はなかった。鉄塔69号とコトガミ沢の頭のあいだにも葉がたくさんありましたが、そちらは日当たりがここほど良くはないせいか花はまだ1〜2本程度。
このカタクリという花はとにかく撮影者泣かせです。下を向いて咲くので、しゃがんでカメラの液晶モニターを上に向けて撮ったり、モニターが動かないカメラでは座ったり寝転んだりしないと、花の前からの様子をうまく撮れません。この時はモニター固定のコンパクトなミラーレスカメラ(LUMIX GF5という10年前のエントリー機種)だったので撮るのに苦労しました。
なんとか花を見上げるアングルにカメラを持ってこれとしても、今度は暗さの問題が出てきます。花の内側が日陰になります。それでもなんとか1枚… 花弁におもしろいギザギザ模様があります。
花被片(かひへん)とおしべ・めしべは紫外線を吸収し、紫外線が見えるハチがやってきて受粉するそうです。確かにこの日、矢岳ではたくさんのクマバチとすれ違いました。
カタクリは光をたっぷり浴びると花被片が後ろ側にこのように反り返り、夕方には閉じるのだそうです。花を完全に閉じている姿も見たいところですが、ここにいるのが夕方だと遭難してしまいそうです。
この日歩いた矢岳は休憩なしで9時間弱かかる長丁場。結構ハードな山なのですが、このカタクリの大群落が少し疲れを癒やしてくれました… と言いたいところですが、厳しい姿勢で撮っていたので余計に疲れてしまったかもしれません。
■ 撮影機材:LUMIX GF5 / LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09(風景に良いだけでなく花の接写もこなせる便利で優秀なレンズ。最近の大のお気に入り)