宮城県・南三陸町の神割崎(かみわりざき)キャンプ場を利用してみました。この記事では神割崎キャンプ場についての基本情報や、筆者が実際に泊まってみた時の感想・現地の模様などをお伝えします。なお筆者はソロでフリーサイト利用です。この記事はオートキャンプやログキャビンについての情報を含みませんので、その点ご容赦ください。
最初に神割崎キャンプ場の感想を簡潔にまとめておきます。ここは景観が良いだけでなく運営が本当に素晴らしく、これほどまでに管理の行き届いたキャンプ場・キャンプギアに詳しい優秀なスタッフさんが常駐しているキャンプ場は日本に他にいくつあるのだろう、と思えるほどでした。誰にも大変おすすめできます(問題があるとしたらマナーの悪い利用者も来てしまうところだけ)。
神割崎キャンプ場の利用方法とアクセス
まず神割崎キャンプ場のアクセス情報から。住所は宮城県本吉郡南三陸町戸倉字寺浜81-23。電話は0226-46-9221。公式サイトはこちら。最も近い駅としてはJR陸前戸倉ですが、近所で最も栄えているのは商店街もある志津川駅のほうなので、そちらをイメージしたほうが良いでしょう。ただし駅からはかなり遠いため、ほとんどの方はクルマやオートバイ利用になるかと思います。
利用にあたっては公式サイトのトップページにある「予約・空き状況」を確認した後、「なっぷ」での予約となります。筆者利用のフリーサイトは1泊600円(入場料。2025年8月時点)。加えてテント1張りにつき500円・タープ500円がかかります。筆者はテントだけの利用だったので、1泊約1100円でした。決済は現地で行います(各種カード利用可)。
火曜は定休日で、管理棟が閉まる・レストランも営業しない、とされているのですが、予約者(利用者)がいる場合はその限りではないらしく、スタッフさんもいる仕組みになっているようでした(弾力的に運用されているようでした)。
宿泊利用の場合のチェックインは13時からで、チェックインを済ませてからはじめて場所取りできます。初回利用時はスタッフさんがキャンプ場について詳しく説明してくれます。
神割崎キャンプ場に泊まってみた
ここからは2025年8月、筆者が実際に神割崎キャンプ場に泊まってみた時の現地の模様と感想をお伝えします。
まず入口がこちら。飲料の自動販売機はここにしかないので覚えておきましょう。名勝・神割崎は約300m先、歩いて5分ほどのところにあります。設営後に軽く散歩に行ってみましょう。
管理棟・レストラン・売店の様子
受付のある管理棟にはこちら側(海側)から入ることも一応できます。キャンプ場の中からアクセスする時はこの出入り口が便利です。この建物は右側がレストラン及び売店になっていて、左側は、筆者利用時は物置きになっているようでした。カッコいいデザインの立派な構造物です。2011年の東日本大震災の時は、津波はこの建物までは及ばなかったそうです。
こちらが併設レストラン・売店。受付はこの左奥にあります(写真を撮っていなかった。すみません)。レストランではカレーや揚げ物、レンジで温めるタイプのおにぎりなど、イートイン・テイクアウトどちらも提供されています。ただ、ランチメニューが提供されない日があったり揚げ物を買える時間帯が決まっていたりするので、チェックインしたらすぐに確認したほうが良いです。
ガス缶や虫除けをはじめとする基本的なキャンプグッズも販売されています。また焚き火台や調理器具、テント・タープ関連用品のレンタルもあります。セレクションを眺めているとスタッフさんたちはキャンプに精通しているのだろうと思わされました。陳列も見やすく、素晴らしい。神割崎キャンプ場ロゴ入りのチャッカマンがカッコ良かったので、色違いを2個も買ってしまいました。
売店では飲料(ビール・日本酒・地ワイン等のアルコールあり)・アイスクリーム・カップラーメン・スナック菓子等も手に入りますし、バーベキュー用食材(南三陸の海の幸あり)の注文も可能なので、基本的にキャンプ場の外に出なくとも数日間暮らせるほどです。また南三陸町のマスコット、オクトパス君グッズもあります。可愛いので私もぬいぐるみを買ってしまいました!
レストランで注文したものなどは、こちらのテーブルで食べられます。天井が高く、開放感のある空間です。15〜20人ほど座れそうでした。無料のウォーターサーバーもあります。
このレストランは海側に面していて、奥のテーブルであれば少しだけ海も視界に入ってきます。
地元の木材を生かしたクラフト製品も販売されていました。これは杉の集積材から椅子2個とテーブルを自分で制作できるキット。9000円くらいだったと思いますが、おもしろそうだったので買って試しました。スタッフさんがノコギリを貸してくれます。自前の折りたたみ椅子(ヘリノックス)やテーブル(iClimb)は持参してきたのですが、今回の滞在中はレストラン下の物置的なスペースでこれらを自作して使うことになりました。
筆者が利用した隠れ家(?)的なサイトはここ!
さて、ここからはキャンプサイトの紹介です。神割崎キャンプ場にはオートキャンプ場を除くと第1〜第4までの4つのキャンプサイトがあります(レイアウトは下の写真の案内図を参照)。筆者が利用したのは第3キャンプ場です。ソロキャンプの場合は第3か第4を選ぶ人が多いと思います。また1日1組限定の「プライベートサイト」があずま屋(出逢い岬側)の近くにありました(そこは海のすぐ目の前でした)。
管理棟の右手側にある「第2キャンプ場」ですが、筆者訪問時は使われている様子がありませんでした。下の写真の坂を登ったところにあるエリアです。こちらはトイレや水道こそありましたが、炊事舎はなし。満員の時に予約なしで来た人がここを使わせてもらえるのかな、と想像しました。通常時の利用は想定されていない(?)ように見えました(草刈りもされていません)。
下は「多目的広場」の近く。チェックインを済ませた後はこのようにクルマを乗り入れて荷物の積み下ろしができる仕組みです。シャワーとトイレのある「サニタリーハウス」がほぼ目の前にあるせいか、家族連れに特に人気のあるエリアのようでした。なお区画は細かく区切られてはおらず、張れそうなところに適当にテントを張る仕組みです。迷ったら隣の方に「ここいいですか?」と聞いてみると良いでしょう。
こちらはログキャビン。神割崎キャンプ場は寝具もレンタルできるので、手ぶらでやってきても衣食住に困らないキャンプ場と言えます。
私は第3キャンプ場のいちばん高いところにテントを張りました。たぶん見晴らしが最も良い2〜3の区画のうちの1つです。仮に暴風雨になっても松の木がテントを守ってくれそうに見える区画でした。
そんなに素晴らしいVIP区画がなぜ空いていたかというと、たぶん坂を登ってくるのが大変だからかなと思いました(実際大変でした)。シャワーやトイレを利用する場合、結構な坂を登り降りする必要があるのです。ただ、トイレは第3キャンプ場と第4キャンプ場の中間地点(灯台の近く)にもあるので、そちらを利用すれば下まで降りていく必要もないため、比較的楽でした。
筆者のテントからの眺めです(35mm換算で90mm相当の中望遠で撮影。肉眼では上の写真のような感じになります)。神割崎キャンプ場のパンフレットで見られるような景色は、実はこの第3キャンプ場から見られるものでした。坂の登り降りが大変でも、この景観を堪能できたのでその甲斐は十二分にありました。
第3キャンプ場には灯台もあります。この少し奥にトイレもあり、さらにその奥が第4キャンプ場となっています。この灯台の手前にも、海はよく見えないものの落ち着いた雰囲気の「隠れ家」的なテントサイトが2〜3ありました(特に焚き火を楽しむのに向いているサイトという印象でした)。
第4キャンプ場にも場内道路でクルマで乗り入れできます。こちらは太平洋側というより志津川湾に面していて、第1〜第3に比べるとより静かな「隠れ家的スポット」という感じでした。家族とゆっくり静かに過ごしたい、という場合などは、景観的には物足りなくなるものの、あえてこちらを選ぶのも大いにありだろうと思いました。ある意味「玄人好み」の区画だろうと思いました。
シャワー・トイレ・炊事場など
こちらはシャワーとトイレがある「サニタリーハウス」です。なんとバスタブまであります。しかも無料で使えます。シャワーもトイレ(ウォシュレット対応)も清潔に保たれています。場内の隅っこのトイレなどは簡易水洗だったりするのですが、ここは立派な水洗だったように思います(浄化槽かもしれないけれど)。
こちらは風雨から守られる立派な炊事舎ですが、第3や第4サイトにも屋根付きの炊事舎があります。シャワーだけはサニタリーハウスと呼ばれる建物にしかありませんが、トイレと炊事舎は大体どこにテントを張ってもわりと近くにあるイメージでした。焚き火の灰入れも各炊事舎にあったように記憶しています。
神割崎はもちろんすぐそば
名所の神割崎は歩いて5分足らずだったと思います。緩い坂道を少しだけ登っていきます(駐車場もあるものの、神割崎キャンプ場からクルマで行く必要はない距離です)。
植生は松のようなコニファーが中心なのですが、おもしろいことに伊豆諸島で見られるタブノキも結構見られ、伊豆諸島が大好きな筆者はとても嬉しくなりました。少し式根島を思わせるような風景がいくつかありました。
まとめ
神割崎キャンプ場を利用して思ったのは、ものすごく丁寧に運営されているな、ということでした。例えばトイレやシャワー室の操作スイッチが濡れて傷まないようにテープで養生されていたりと、インフラを大事にしていることがひしひしと伝わってきました。またスタッフの方々は相当キャンプに詳しく、有能な方々が集まっているのではないかと思いました。
売店で入手できる物品のセレクションや敷地内の設備、スタッフさんの応対、全てにおいて「こんなにレベルの高いキャンプ場が存在するのか」と本当に驚かされました。利用料金も相当安いと感じます。他に「これがあったら良かったのに」と思ったのは、洗濯機くらいです。本当に素晴らしい。
筆者は主に関東のキャンプ場をよく利用させてもらっていますが、これほどレベルの高いキャンプ場は関東にも多くはありません。
筆者はここで数泊したのですが、唯一残念だったことがあるとしたら、ある夜、大声でバーベキューをしながら夜10時頃まで騒いでいるアジア系外国人の家族がいたことです。子供も遅くまで大声で叫びながら走り回っていました。その隣の区画で一泊だけソロキャンプして帰っていった方々がいたのですが、本当に気の毒でした。その方々は「なんでこんな最悪なキャンプ場に来てしまったんだろう」と思って帰っていったに違いありません。
しかしそれは利用者の問題で、キャンプ場の責任ではないでしょう。景観も施設もあまりに素晴らしいぶん、ヘンな利用者も増えてしまうのかもしれません。これはもう仕方がないと思います。
唯一何かできるとしたら、場内マナーについて多国語で案内するチラシなどを用意して配ることくらいでしょうか。また、外国人だからといってマナーが悪いとも限りません。筆者利用時はドイツ語を話すヨーロッパ人の家族も近くにテントを張って数泊されていましたが、とてもマナーが良かったです。
またGoogleマップの口コミなどでは、紙巻きたばこが禁止されたことへの不満のコメントが散見されるのですが、これは以前「燃えるゴミ」に吸い殻を混ぜた方がいて、それが原因でスタッフさんの不在中にボヤ騒ぎが起こったためだったようです。現地に行くとそういう事情を理解できました。
このキャンプ場で起こりうる「問題」のほとんどは、運営者ではなくユーザーに起因するものだろう、と私は感じました。
大変おすすめできるキャンプ場です。★★★★★の最高評価としたいと思います。あと、たこの唐揚げは本当に美味しかったので是非食べてみてくださいね(やわらか〜い!)。
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