キャンプ場紹介・利用体験記埼玉県のキャンプ場

大鳩園は埼玉県でいちばん好きな渓流のキャンプ場 ハイキング・山歩き好きにもおすすめしたい

5.0

私がいちばん好きな埼玉県のキャンプ場「大鳩園(おおばとえん)」をご紹介します。飯能市上名栗(かみなぐり)にあり、名郷(なごう)バス停から徒歩5〜10分という好立地ながら自然感も豊かな大鳩園では、名栗川のせせらぎに全身を包まれながらゆったりとしたキャンプを楽しめます。

大鳩園(第1駐車場)

最寄りの名郷バス停は武川岳・有間山・蕨山・ウノタワ方面の山歩きで利用されている方が多いと思いますが、山歩きの帰りにここに泊まっていく計画を立ててみるのはどうでしょう。きっと気に入ると思いますよ。

■ 大鳩園付近の地理院地図(拡大・縮小できます)

西武池袋線・飯能駅から名郷までは、バスでちょうど1時間です。

大鳩園に泊まってみた

過去に何度も利用させてもらっている大鳩園、ここからは2023年4月に再訪した時の様子をお伝えします。

名郷バス停を降りたら二股の車道を左(西)に。鳥首峠や妻坂峠方面です(後述しますが、妻坂峠への道は数年前から通行止めとなっています)。「西山荘笑美亭」の看板を右に行くと武川岳の登山口に至るのですが、大鳩園は林道を直進です。

西山荘笑美亭の看板

ゆるい坂を5〜10分のんびり登っていくと、左手に大鳩園の大きい看板が見えてきます(日焼けていて昭和風で良い雰囲気の看板)。ここが「第1駐車場」で、川の左岸ではオートキャンプ、奥の右岸ではテント泊できます。テントサウナを楽しみにやってくる方も多いですよ。

第1駐車場

ここで大鳩園の全体を俯瞰しておきましょう。駐車場は第1〜第8まであるのですが、このうちハイカーのテント泊に向いているのは「1・5・6・8駐車場」付近です。第2駐車場は事務所・売店前で、基本的にバンガロー利用者のためのもの。第3・第7駐車場は山腹にあり、オートキャンプで利用されている方が多いです。1・5・6・8駐車場付近は、後で散歩しながらご紹介します。

大鳩園全体図

この日は最も下流側にある第1駐車場前のサイトに泊まることにしました。里に近いのですが、日当たりが良い時間が長く、河原も広々としている良いサイトです。水場やトイレも近い。開放感という意味ではここがいちばん良いかもしれません。

第1駐車場前サイト

増水や倒木の可能性も考慮しつつ、場所を選びます。なお、大鳩園は予約が不要です(というか、予約システムなどはない)。利用時は事務所を訪れるか、そこに記載の番号に電話をするのも良いのですが、ご不在・留守のことが多いです。しかしスタッフさんが定期的に敷地を巡回されているので、好きなところに設営していると近くまで来てくださいます。

第1駐車場前サイト

その時に書類に必要事項を記入し、料金を支払います。徒歩テント泊の場合は、タープ込みでおおむね2000円あれば足ります。薪の販売もあります(針葉樹・広葉樹・端材など)。必要な時はスタッフさんに在庫を聞いてみましょう。近くの有名温泉「さわらびの湯」の割引券や、大鳩園のロゴ入りペンライトも記念にもらえるかもしれません(とても嬉しい。しかも実用的)。

大鳩園のロゴ入りペンライト

大鳩園のロゴ入りペンライト

さて、テントを張り終えたところで渓流を上流に向かって少し散歩してみましょう。下流では入間川と呼ばれる名栗川は美しい清流で、この日は小さいヤマメの姿をたくさん見かけました(川に近寄ると5〜10cmの個体がものすごい速さで逃げていきます。警戒心が強い)。

第1駐車場前サイト

下の写真は第2駐車場のまわりにあるバンガロー区域で、川沿いに歩いていくこともできます(足元が難しいところもあるので注意しましょう)。ここは木漏れ日が美しいですね。ただしバンガロー近くにテントは張れません。

バンガロー

左岸に渡ってバンガロー付近の階段から林道に上がると、大鳩園事務所・売店があります。焚き火・バーベキュー用品のレンタルや、お菓子の販売などがあります。トイレも併設。ただ、人がいないことが多いです。飲料の自販機はあるので、ジュースが飲みたくなったらここに買いにくるとよいでしょう(ICカード非対応)。

大鳩園事務所・売店

坂道をさらに登っていくと第5駐車場です。ここから下っていけるサイトも広々としていて、人気があります(ここがいちばん広い)。右岸は地面が水平なところが多いです。水場は左岸側で、トイレは林道の反対側を少し登ったところにあります(大鳩園でいちばん立派な洋式トイレがあります)。

第5駐車場前サイト

第5駐車場からキャンプサイトに下ってみたところです。季節にもよりますが、こう見えて日当たりの良い時間帯もあります。真夏なら清涼感が高いエリアです。

第5駐車場前サイト

下は第6駐車場から降りていけるサイト。基本的に一組様用の隠れ家的なスペースで、ここも人気があります。先約済みのことが多いです。

第6駐車場前サイト

第6駐車場の先には「大場戸橋(おおばとばし)」という小橋があります。「大鳩園」の「大鳩」の名は「大場戸」から取られたものなのでしょうか。ここは右に行くと山中(やまなか)・ウノタワ・妻坂峠に至る林道(山中線・横倉線)ですが、長らく通行止めとなっています。

大場戸橋

去年(2022年)までは「林道山中線は通行止め」の看板があったのですが、この日(2023年4月)は「林道横倉線は通行止め」と書き換えられていました。ということは、妻坂峠までは行けるようになったのかもしれません。しかしウノタワに至る横倉線は、まだ崩壊していて歩けないようです。ウノタワに行く時は当面、大場戸橋を渡って直進し、白岩渓流園・白岩集落・鳥首峠を経て北上する必要があります。

さてこの「大場戸橋」ですが、山中入(横倉入)のほうを見下ろすとテントを張れそうなサイトがあります。私自身はまだ試していませんが、ここに泊まっている人も見たことがあります。ここも隠れ家的スポットで、いつか挑戦してみたいと思っています。少し上級者向けの場所かも。

大場戸橋の下のサイト

さらに進むと第8駐車場があり、そこから見下ろしたサイトがこちら。先の大場戸橋サイト同様、自然が深いのが魅力です。ここはトイレも近いです(第6駐車場と大場戸橋からは、トイレまでやや距離があります)。どのトイレもいつもきれいで気持ち良く使えます。丁寧に運営されているキャンプ場です。

第8駐車場前サイト

さて私がテントを張った第1駐車場まで、歩けるところは渓流沿いに歩いて戻っていきます。スタッフさん曰く「薪が足りなかったら落ちてる枝とか使っていいからね」とのことなので、焚き付けなどを拾いながら楽しく散歩します。枯れた杉の葉は林道近くのほうが多いかもしれません。

杉の焚き付け

バンガロー前を通り、第1サイトに戻りました。岩沿いは苔で滑ったり、石橋は浮いていて足が水没したり、ここはジャンプしないといけなかったりで、ちょっとしたアドベンチャーなので無理をしないほうが良いです。

第1駐車場前サイト

あとは買わせていただいた薪を使って、ゆっくり焚き火を楽しみます。この日持参したのはピコグリルっぽい2000円の中華製焚き火台。この焚き火台なら、長く太い薪もラクに燃やせます。なお大鳩園では、マナーを守った上での話ですが、直火が許可されています。

焚き火台

この日はタープも張り、サーマレストのZライトソルを外に敷いて焚き火のそばで寝ろがったりしました(火の粉でちょっと穴が開いてしまった)。360度サラウンドの渓流の音に包まれ、とてもバス停から10分足らずの場所とは思えません。

第1駐車場前サイト

ハイキングや登山では時に「ひたすら歩く」ことに集中してしまいがちですが、たまには「動かずにまったく何もしない」のも大事なことだと思います。あれこれ考えず、スマホも見ない。心のデトックスです。川の音に耳を澄まし、火と夜空を眺めるだけ。この日は北斗七星が真上に見えていました。

焚き火台

大鳩園はキャンパーには言うまでもなく大人気のサイトなのですが、ハイキングが好きな方にも是非一度試していただきたいところです。管理人さんも人柄の良い親切な方で、いつも良い時間を過ごさせてもらっており、大変感謝しています。

12月1日から2月末日頃までの冬の期間は営業していませんが、それ以外なら定休日などは特にないと思います。スタッフさんが巡回されているのは9時〜17時と思われ、テント泊でのチェックアウトは朝10時までとなっています。デイキャンプももちろん可能。

マイカーやオートバイで来る方は、設営してから「さわらびの湯」に一汗流しに行くことも多いようです。料理も楽しみたい場合は、原市場の「エコス」というスーパーで仕入れるのが良いと思います。なおコンビニは近くにはありません。朝晩の気温はだいぶ低めになるので夏以外は要注意。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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