ハイキングコース紹介埼玉県の山

武川岳と二子山:ゴロゴロ露岩と好展望を楽しめる膝に厳しい一本満足縦走コース

武川岳・二子山とは

武川岳は埼玉県飯能市と横瀬町の境界にある標高1052mの山。南に開けた山頂は大展望とまではいかないものの、奥多摩方面の山々を望める休憩適地。二子山は西武秩父線の芦ヶ久保(あしがくぼ)駅から歩いていける山で、小鹿野町にある奥秩父の二子山(別名クレイジーマウンテン)と区別するため「横瀬二子山」と呼ばれることもあります。

武川岳

この2つの山を繋ぐ約10kmの起伏激しい縦走コース上には前武川岳・蔦岩山・焼山といった小ピークも含まれ、前半での露岩群「天狗岩」と焼山・武川岳雄岳の展望岩からの素晴らしい眺望がワクワクポイントです。

本時事では武川岳・二子山縦走コース(約5時間)を、筆者の歩行記とともにご紹介します。

武川岳・二子山へのアクセス情報

この縦走コースを武川岳側から歩く場合、まず西武秩父線・飯能駅で下車。そこからバスにて名郷(なごう)へ。バス乗車時間は約55分。帰りは二子山から芦ヶ久保駅にダイレクトに降りていけます。逆コースの場合、名郷から飯能へのバスは平日の場合、午後に3便ほどしかないので事前の確認をおすすめします(国際興業バス公式サイトの名郷バス停時刻表)。土日祝日なら1時間に1本はあるので安心です。

■ 武川岳周辺の地理院地図(拡大・縮小できます)

武川岳は伊豆ヶ岳を登ってから縦走してくるのも人気コースです。ただこの場合、次の歩行記で紹介する名所「天狗岩」を通らないのがなんとも惜しいところ。健脚の方は伊豆ヶ岳・武川岳と歩いてから妻坂峠を経由して大持山・小持山武甲山と縦走するロングコースに仕立てるのもあり。大持山から南下し、ウノタワ・鳥首峠経由で名郷に戻ってくるアイデアもあります。

■ 二子山周辺の地理院地図(拡大・縮小できます)

芦ヶ久保駅から二子山だけ往復するのも良いです。雄岳には展望の良いスポットもあります。この場合は往復5時間弱を見込んでおくと良いでしょう。

私が歩いた武川岳・二子山

2022年10月下旬に筆者が武川岳・二子山縦走コースを歩いた時の様子をご紹介します。飯能駅7:45分発のバスに乗り、名郷到着は8:39。バス停前の広い操車場で支度をして出かけます。トイレあり。自販機はここにはありませんが、写真奥に見える白い壁の家の前にひとつあります。その家の手前にある小さい橋を渡っていきます。

名郷バス停

武川岳登山口までの道は、ややわかりにくいところがあります。舗装路を登っていくと「西山荘笑美亭」の小さい看板が見えるので、これを右折します。なお直進した場合、直火でのキャンプができる大鳩園(ご主人さんが本当に良い方で超おすすめ)や、白岩渓流園を過ぎ、現在では無人の白岩集落跡を経て鳥首峠に至ります。ウノタワなどに行く時は左になります。

西山荘笑美亭への道

西山荘笑美亭を右手に見ながら直進します。やがて左側に写真のようなフェンス付き階段が見えてきます。ここは見落としやすいので注意。よく見ると、階段下に武川岳方面であることを示す小さい看板があります。

武川岳登山口

登山口はまだまだ先です。階段を登りきったら一度車道に出て、また少し登ると再び看板と階段があります。

武川岳登山口

またまた車道に出ると、ようやく本当の(?)登山口です。ここまで約40分ほど。

武川岳登山口

登山道は杉の植林の尾根道です。道の状態は非常に良いです。

武川岳登山道

登山道の東側には石灰石の採掘場があるため、立入禁止のフェンスが張られている区間があります。

武川岳登山道

日照は多くないものの、季節によっては木漏れ日が大変美しい、とても気持ちの良い尾根道が続きます。

武川岳登山道

やがて巨大な露岩群に至ります。このあたりから「天狗岩」に至る道のはじまりです。私はここを歩くのが大好きなので、伊豆ヶ岳方面からの縦走ではここを通過しないのがなんとも残念です。時間はかかっても、やはり名郷バス停から登ってくることが多くなります。

天狗岩の手前

はじめて来た時は「こんなとこ歩けるか!」と思ったのですが、極端に険しい岩登りはないので息を切らさず楽しく登っていけます。

天狗岩の手前

天狗岩への本格的な露岩はここから。右に巻き道である「女坂」があり、天狗岩頂上で合流します。しかし男坂が抜群に楽しいため、また冬〜春にかけては眺望も少し楽しめるので筆者は女坂を歩いたことがありません。こう見えて危険は少ないので、この天狗岩セクションは時間をかけてゆっくり楽しむのがおすすめです。

天狗岩

密集した大きいチャート岩が圧巻です。岩好きにはたまらないでしょう。

天狗岩

このあたりは雑木林で、木々と岩と光のコンストラストが映えます。心洗われるひとときです。

天狗岩

光と影をテーマにした写真をたっぷり撮って楽しみます。やはり武川岳に登るのなら個人的にこの天狗岩コースは外したくないところです。

天狗岩

これが天狗岩頂上。特に眺望があるわけでもなく、岩のあいだに隠された看板も小さいので気付きにくいかもしれません。

天狗岩頂上

その後はふたたび尾根道。途中で武川岳が見えるピークを通過、50分ほど歩くと前武川岳(1003m)に到着します。前武川岳も特に展望はありませんが、ベンチのある雰囲気の良い空間です。おやつ休憩に良いですが、大休止はもう少し頑張って武川岳で取ったほうが良いです。

前武川岳

雑木林の尾根道を15分ほど歩くと次が武川岳です。

前武川岳から武川岳に至る道

武川岳山頂が見えてきました。東は伊豆ヶ岳に至る道、西は妻坂峠に至る道と合流します。ここも美しい雑木林。

武川岳

山頂には3〜4のベンチがあり、休憩していると大体必ず他の登山者がやってきます。人気の山なので週末のお昼時は座れない時もあるかもしれません。シットマットのような敷物があると便利。

武川岳

南側に展望が開けます。まだ葉が多い季節だったこともありますが、近年は枝が伸びていて秋冬でも眺望はそれほど良くはありません。それでも気持ち良い場所です。奥武蔵の物見山(日和田山の近く)に少し似た雰囲気があります。

武川岳

その後は岩塊のある蔦岩山(つたいわやま・1004m)を経て、焼山を目指して雑木林を歩きます。このコースは森林浴効果が高いですね。

武川岳から焼山に至る道

登山道が一部崩落しているため、右にそれて林道を少し歩く箇所があります。道案内の看板が出ているのでよく見ていれば迷うことはないでしょう。

武川岳から焼山に至る道

途中で武甲山や横瀬の町を眺望できる林道上のスポットがあります。落葉時は良い眺めです。道から少しだけ外れますが、少し寄ってみても良いでしょう。奥は行き止まりです。

武川岳から焼山に至る道

その先の登山道から横を見たところ。このあたりは踏み入っていくとキノコをよく見かけます。

武川岳から焼山に至る道

このように登山道が作業道と交わるところもあるので、迷いこまないようちょっとだけ注意。

武川岳から焼山に至る道

焼山(850m)に着きました。ここはベンチのない狭いピークですが、武甲山が映える眺望スポットです。

焼山

焼山からはロープで急下降。ストックを使っている方は一時しまったほうが良いです。このあたりから体力が必要になってきます。

焼山

こんもりした二子山の雄岳と雌岳が見えてきました。なんともかわいらしいですね。手前の雄岳の山頂から少し右下に見えている白い岩は、後で訪れることになる展望岩です。ここからはやや急登を含むアップダウン。

横瀬二子山

二子山雄岳に到着した… のですが、山頂の看板を見に行く前に右折、細く目立たない道で展望岩に向かいます(順番はどうでも構いません)。

二子山雄岳の展望岩

この展望岩からの眺めは素晴らしく、武甲山はもちろんのこと登ってきた武川岳方面も壮観です。どんな眺めかは是非実際に行って体感していただきたいところ。狭い岩ですが、ここで食事休憩するのも気持ち良いと思います(人気なのでやはり先約済みのことが多い)。

武甲山

二子山雄岳の山頂です(883m)。日があまり当たりません。この付近にはベンチ代わりになる丸太も多く、広々としているので芦ヶ久保側からピクニックに訪れている家族連れの姿も多く見られます。

二子山雄岳

三角点の上には狛犬の置物。みんな写真を撮っていく人気者です。

二子山雄岳

下って登り返すとすぐ雌岳(882.7m)。ここは暗く、見るものはほとんどありません。

二子山雌岳

さてここから芦ヶ久保駅に下っていくのですが、道が二手に分かれます。左側の「尾根を歩く道」は「浅間神社コース」と呼ばれており、冬期は下った先の浅間神社で「あしがくぼの氷柱」イベントが行われているので通行止めになっています(その季節はここに通行止めの案内板が出ているはずです)。

右の「沢道を下る道」は「兵ノ沢コース」と呼ばれ、芦ヶ久保駅のすぐそばに出る道です。どららのコースも運動強度的に大きい違いはないように感じますが、兵ノ沢コースのほうが足腰には厳しいかもしれません。ロープとザレ場を楽しみたいならこちら。ここはとても滑りやすいので要注意です。今日は兵ノ沢コースで行きます。

兵の沢コースの下り

雌岳から1時間弱、ひたすら沢沿いの道を下っていきます。

兵の沢コースの下り

やがて線路脇のフェンスに出ます。ここは左折。目印のテープがあります。

兵の沢コースの下り

西武秩父線の小さいトンネルをくぐります。ここは照明がなくいつも真っ暗で、冬期は凍結している箇所も多いので足元注意です。

兵の沢コースのトンネル

トンネルを出て振り返って撮りました。「あしがくぼの氷柱」開催中は、このすぐそばにチケット売り場が設置されています。右側に行くと浅間神社コースですが、冬期はそちらには行けないようになっています。浅間神社コースがイベントの有料区間に含まれているからです。

兵の沢コースのトンネル

さてこの武川岳〜二子山縦走コース、個人的には「数字以上にきつい」という印象があります。「埼玉県の山」(打田鍈一著)によると歩行時間5時間・距離10.5km・コース定数24。何度も歩いているコースですが、二子山を下る時から膝が痛みだすこともしばしば。行くたびに雌岳からの下りで「あれ、なんでこんなに疲れてるんだ?」とよく思います。

焼山あたりからじわじわと疲労が蓄積してくる印象です。膝に不安のある方はトレッキングポールを携帯していったほうが良い道かなと思います。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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