山の動植物

アキアカネ(埼玉・棒ノ折山にて)

8月初旬、埼玉県と東京都の境にある棒ノ折山(棒ノ嶺)山頂にてアキアカネ(俗名「赤とんぼ」)の群れに出会いました。撮影した写真を何枚かご紹介します。

「草ぼうぼう」の山頂はアキアカネの避暑地?

この日は8月8日。白谷沢のゴルジュ付近だけはひんやりしていましたが、それ以外はいくら登っても気温は下がらず風も通らず、山頂でも30度は下らなかったような気がします。それでもここは夏のアキアカネにとって絶好の避暑地なのかもしれません。

棒ノ折山(棒ノ嶺)山頂

棒ノ折山は「埼玉県の山」(打田鍈一著)によると「草ぼうぼうの尾根」が「ぼうの折れ」に訛ったものという説があるらしく、この広々とした山頂は確かに草ぼうぼう。カヤの先端にたくさんアキアカネがとまっていました。

アキアカネ

最初は75-300mmの望遠ズームレンズ(マイクロフォーサーズ)で遠くから撮っていましたが、暑さで動きが鈍っているのか、人を脅威と思っていないからなのか、かなり近付いても全然逃げないので、画質が良く撮影倍率も高い標準ズームに付け替えて接写してみました。さらに少しだけクロップしたものが下の写真。

アキアカネ

よく似ているナツアカネとの違いは、胸の「翅胸第1側縫線」と呼ばれる箇所にある黒条の先端が尖っているか、角ばっているかで判別できるそうです。これは黒い文様の先端が尖っているのでアキアカネでしょう。上は、腹部第2節の下部に副性器と思われる突起が見られるのでオスだと思います。真下の写真はたぶんメス。

アキアカネ

これはススキでしょうか、イネ科の植物との組み合わせが美しいので1枚(画質はちょっとイマイチになってしまいました。これは安価な75-300mmズーム)。

アキアカネ

ほんと警戒心が少ないのでぐるりとまわりつつ、登頂直後のクールダウンを兼ねて色々な角度から撮影。しかし望遠撮影はちょっとした無酸素運動的なところがあり、調子に乗って撮りまくっていたら息が上ってきました。

アキアカネ

アキアカネ

オベリスク姿勢を取るアキアカネ

これは「オベリスク姿勢」と呼ばれる、腹部を挙上した姿勢です。暑い日に体温が上昇しすぎないよう、太陽が真上近くに来ている時はこのように逆立ちをすることで太陽光線が当たる面積を減らします。反対に、寒い夕方にも飛ぶための筋肉を動かすためにこの姿勢を取り、低い位置にある太陽からの光線を浴びて身体を温めることがあるそうです。

オベリスク姿勢を取るアキアカネ

完全オベリスク体勢に入ったアキアカネも多数。この日はさすがに暑かったので納得です。

オベリスク姿勢を取るアキアカネ

棒ノ折山は私にとって、登山ガイドに書かれているよりも運動強度がはるかに高いイメージがあり(個人的には奥多摩三大急登などより疲れる)、沢登りの後の急登や滝の平尾根の下りはかなりキツく感じるのですが、この日はこのアキアカネの群れがご褒美となりました(山頂は草が茂りすぎていて眺望はほとんどありませんでした)。

撮影データ:OLYMPUS OM-D E-M5 III / M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO / 2022年8月8日

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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