伊豆大島(東京都)でカタツムリの「ミスジマイマイ(学名:Euhadra peliomphala)」を多数見かけました。以下はいずれも2022年10月初旬に撮影したもの。明るい淡黄色で、大きい茶色の筋が目立ちます。
ミスジマイマイは、関東地方南西域・中部地方南東・伊豆諸島に分布するとされています。殻には大きく3本の縞が目立つことから「ミスジ(三筋)」の名が付いているようです。
スコリアでも見かけたミスジマイマイ
最初にミスジマイマイを見かけたのは、三原山の表砂漠への入口でした。食堂・おみやげ屋さんの「歌乃茶屋」から右に入っていくと、このエリアに出ます。低木樹林の中間地帯といったところ。
表砂漠に拡がる黒い礫の斜面に転がっているスコリア(=火山砕屑物)岩に、ミスジマイマイがくっついていました。しかしこの時は3〜4個体を見たのみで、それほど驚きませんでした。殻の直径が4cm近くあり、わりと大型に見えました。
この近くには雨後にのみ姿を現す「幻の池」があります。数日前が大雨だったので期待していたのですが、この日は残念ながら乾いていました。またこの池近くではミスジマイマイは見かけず。
それにしても三原山はこんな荒涼としたところです。夏はハチやカナブンも見かけることはあるのですが、ここでカタツムリを見たのははじめて。カタツムリは殻を成長させるために炭酸カルシウムが必要になるはずですが、三原山の火山砕屑物はマグネウシムが中心の玄武岩(カルシウムも少しは含有するらしい)。
カルデラ内では他に見かけなかったので、草木が多い周辺部に生息しているのでしょう。
伊豆大島は太古の昔、伊豆半島と地続きになっていた(らしい)ことから、動植物の分布はある程度共通しているそうです。八丈島の先の青ヶ島あたりまでは本州と繋がっていたとする「古伊豆半島」という仮説もあるようです(小笠原諸島はそれには含まれないらしい)。
元町の歩道では大群に遭遇
三原山を歩いた翌日、筆者はトウシキキャンプ場に野営。そこから岡田港までバスと徒歩で向かったのですが、元町をすぎたあたりの歩道で大量のミスジマイマイに遭遇しました。気をつけないと踏んでしまうほど這っていて、なぜか山側から海側を目指していました。数十というレベルではなく、100匹以上は見かけました。あれだけの数を考えると、天敵は少ないのでしょうか。
この時は大雨で少し寒かったのですが、なかなか立派でかわいらしいミスジマイマイがたくさんいたのでじっくり写真を撮りました。暗かったのでビシッと撮るのは難しかったのですが、これらはお気に入りの写真。生き生きとした若めの個体という感じがしました。
ミスジマイマイは近縁種も多く、個体差も多いらしいのですが多くの資料と照合してみたところ、私が見たのはまずミスジマイマイの一般的なタイプで間違いないと思います(伊豆諸島には他にも「シモダマイマイ」という有名なカタツムリがいるようですが、模様が違う)。ミスジマイマイはWikipediaによると神津島以北に生息。八丈島にいるシモダマイマイはミスジマイマイの仲間だそうです。
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