山の動植物

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

埼玉県の大持山(おおもちやま)付近で撮影したニホンジカのメスです。2022年8月19日、午後1時46分撮影。シカはよく遭遇はするのですが、ポートレート的な良い写真はなかなか撮れずにいます。今回は1枚だけお気に入りが撮れたのでその時の状況を交えつつご紹介します。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

カメラはOLYMPUS E-M5 Mark III、レンズは12-45mm F4.0、75-300mm F4.8-6.7 Ⅱ。いずれも軽量で、ハイキング中の動植物撮影に大活躍してくれる機材です。

大持山の肩近くにて

この日は名郷から鳥首峠を経て、ウノタワを目指して歩きました。ウノタワでゆっくり植物写真を撮った後、大持山の肩で食事休憩。そこから妻坂峠方面に下りはじめて10分ほどで、落ち葉を蹴散らすガサガサッという大きい音が聞こえました。北側の斜面を見ると、一頭のメスがこちらをジッと見ています。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

場所は下の地理院地図の十字マークの近くだと思います。広葉樹林の記号があるところで、写真の状況と一致しますね。標高は1200m前後でしょうか。なお「大持山の肩」とは3つの登山道が交わっているところです(眺望が良く大休止におすすめ)。

望遠ズームは間に合うか

二頭目のシカが登山道を横切り、一頭目に合流しました。この時のレンズは12-45mm F4.0で、望遠端(90mm相当)で撮影。ダメ元でザックのウェストベルトのポケットに忍ばせておいた75-300mmをそっと取り出し、レンズ交換します。果たして1枚でも良い写真を撮れるだろうか…

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

若干警戒したのか、シカが移動しはじめます。何か葉っぱを食べているようです。このレンズは暗く(600mm相当の望遠端でF6.7)、曇天の午後2時近くで光量も少ない状況です。咄嗟にISOを3200まで上げ、絞りは当然開放、-1.7まで露出補正しスピードを稼ぎます。それでも1/160秒にしかならないのですが、E-M5 IIIの強力な手ブレ補正に助けられました。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

この日自分としてはいちばんよく撮れたと思うのが下の1枚。これも-2.3evまで落として撮ったものを後で露出調整したものです。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

下は同じ個体の2秒後の表情。警戒しているのか、それとも口をモゴモゴさせているだけなのか。ずいぶん顔のかたちが変わるものです。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

こんな変顔(?)も見せてくれました。やはり何か咀嚼していたようです。このあたりで一気に暗くなってきて、カメラのAFも大きく迷いはじめます。暗いレンズで障害物も多いので、無理はありません。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

写真には収められませんでしたが、後でさらに一頭が加わり3頭の群れになっていました。ゆっくりと近付いていくと、むこうも距離を詰めさせないようにゆっくりと離れていきます。極端にこちらを恐れてはいないけれども、警戒心は緩めないという感じでした。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

暗いけれど軽くて便利な超望遠ズーム

この時に使ったオリンパスの75-300mm F4.8-6.7 Ⅱズームレンズは、望遠端が600mmもあるのにたった423gと軽量なので山行にはもってこいのレンズなのですが、暗さはやはり弱点。シカをよく見かける樹林帯の中は多くの場合光量不足なので、今回のようにISO 3200でも低速シャッターを強いられることが多いです。

M.Zuiko Digital ED 75-300mm F4.8-6.7 Ⅱ

かといって300mm F4や100-400mm F5-6.3ズームは1kgを越えるので、ハイキングに携帯するのは現実的ではありません。この超軽量な75-300mmは類似スペックの製品も他になく、存在しているだけでありがたいレンズです。PROレンズではなく、防水対応でもないのですが、3.5万円と値段も安いので気軽に使えます。

それにしても本気でシカの良い写真を撮りたいのなら、レンズ交換などしている暇はないので、このズームレンズを付けっぱなしにしたカメラ1台と、それ以外に風景などを撮るカメラの2台体勢にしないと難しいなと思いました。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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