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OLYMPUS 75-300mm F4.8-6.7 IIと12-45mm F4.0 PROの解像力の違い【トンボを撮って比べてみた】

オリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIとM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROは、私がハイキングに持っていくことの多いズームレンズです。この2本のレンズで、ほぼ同じ時間にほぼ同じ光線下でトンボ(アキアカネ)を撮る機会があり、それぞれの解像力がわかりやすく現れたので結果をご紹介します。

75-300mm F4.8-6.7 II と12-45mm F4.0 PRO

75-300mm F4.8-6.7 II と12-45mm F4.0 PRO

75-300mm F4.8-6.7 IIの場合

基本的には12-45mm F4では風景や山行メモ的な写真のほか、ハーフマクロ撮影ができるので植物や昆虫などに寄って撮り、シカや鳥など近寄れない動物では75-300mmを使うことが多いです。ある日、75-300mmを装着した状態でアキアカネを見かけたので、そのまま撮影しました。下がその写真で、300mmの望遠端、F6.7開放。ボディはE-M5 Mark IIIです。

75-300mm F4.8-6.7 IIで撮影したアキアカネ

75-300mm F4.8-6.7 II, 300mm F6.7で撮影

下は上の写真のクロップです。スーパーシャープという感じではないのですが、頭から胴にかけては、個人的に楽しむならこれで全然構わないレベルの解像力があります。あと300mmもあると背景を省略できるのもこの場合は良いです。

75-300mm F4.8-6.7 IIで撮影したアキアカネ

上の写真のクロップ

しかしよく観察すると、コントラストは若干低めであり、フォーカスから外れている尾のあたりにはパープルフリンジが出ているのがわかります。

12-45mm F4.0 PROの場合

トンボはゆっくり近付いていくとあまり逃げないので、75-300mmから12-45mm F4.0 PROにレンズ交換して撮影することにしました。45mmのテレ端で逃げられないギリギリの距離まで近付いて撮ったのがこちら。このレンズはF4開放でも十分にシャープなのですが、少しだけ絞ってF5.6にしてあります。

12-45mm F4.0 PROで撮影したアキアカネ

12-45mm F4.0 PRO, 45mm F5.6で撮影

こちらは上の写真の部分拡大です(クリックすると少し大きい写真を見られます)。先に紹介した75-300mmよりも解像感がはるかに高いのが一見してわかります。色収差は皆無で、よりシャープで、線は細く、コントラストも良好です。他に所有している60mm F2.8 Macroには及ばないにしても、これはさすがにPROラインナップのレンズだなと改めて感心しました。

12-45mm F4.0 PROで撮影したアキアカネ

上の写真のクロップ

トンボは蝶などよりも警戒心は低めで、脅かさずに近付けばあまり逃げません。逃げてもすぐ同じ場所に戻ってくる習性があるので、75-300mmよりもこの12-45mm F4を使って待ち伏せしたほうが、より鑑賞価値の高い写真が撮れることがわかりました。ただし崖の先など、地形上容易に近付けない場所にいる被写体などは、やはり75-300mmが活躍します。

でもありがたい75-300mm

75-300mm F4.8-6.7 IIは、軽量コンパクトで安価な望遠ズームとしては十分な仕事をしてくれるものの、解像力ではやはりPROレンズには及ばないことがわかりました。しかし、トンボのような小さい被写体でこれだけ撮れていればかなり良い仕事をしていると言って良いようにも思います。

75-300mm F4.8-6.7 II(左) と12-45mm F4.0 PRO(右)

75-300mm F4.8-6.7 II(左) と12-45mm F4.0 PRO(右)

300mmでこの上の画質を求めると今度は単焦点の300mm F4となり、重さは1270gで38万円くらいします。75-300mm F4.8-6.7 IIは423gで、3.5万円です。縦走ハイキング中に肩からたすき掛けしておいても歩き続けられる重さで、多少岩に擦ってしまっても気にせず使い倒せる価格はやはり嬉しいですね(ただし防水ではないので沢や雨には注意が必要)。

75-300mm F4.8-6.7 II と12-45mm F4.0 PRO

75-300mm F4.8-6.7 II と12-45mm F4.0 PRO

また画質の良し悪し以前に、そもそも300mmレンジ(35mm換算600mm)でないと撮れない写真があります。下のシカの写真もこのレンズで撮りました。光量が足りない午後の林の中だったこともあり、ビシッとシャープに決まった写真ではありませんが、このレンズがなければそもそもこの大きさで撮れなかったものです。

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)

ニホンジカ(埼玉・大持山にて)
埼玉県の大持山(おおもちやま)付近で撮影したニホンジカのメスです。2022年8月19日、午後1時46分撮影。シカはよく遭遇はするのですが、ポートレート的な良い写真はなかなか撮れずにいます。今回は1枚だけお気に入りが撮れたのでその時の状況を交...

ただ、値段は3倍になっても良いので、もうちょっとだけF値が明るいものが出てくれると嬉しいですね。100-400mm F5.0-6.3 ISの導入も検討してはいるのですが(明るさはあまり変わらなくても手ブレ補正がより強力)、1120gという重さと大きさがネック。機動性が落ちると撮影機会も減ってしまいます。全長が長くなってくると岩にぶつけたりすることも増えます。

75-300mmならいつでも出しておけますし、取り回しもまあまあ良く(というか600mm相当と考えると信じられないほど小型軽量)、ハイキング向きのバランスの良い望遠ズームだと思います。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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