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MILLETの「ティフォン50000ストレッチ ジャケット」を買う前に知っておきたい長所と短所【ソフトシェルとの比較も】

4.5

MILLETのレインウェア「ティフォン50000 ストレッチジャケット」のレビュー記事です。人気のウェアなので本格的なレビューが多くのメディアに掲載されているでしょうから、ここでは「低山ハイキングがメインでガチ登山はほとんどやらない一般人」による「ゆるい感想」を綴ることにします。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

なお私が持っているのは、2023年初頭に購入したバージョンです。登山用ウェアやザックは頻繁にマイナーチェンジが行われるので、細部の仕様が今後違ってくる場合もあります。その点ご留意の上お読みいただけると幸いです。

軽量化のために買ってみた

ティフォン50000は「一年中・一日中着ていられるレインウェア」と宣伝されていることが多いと思います。レインウェアとしての役割を十分果たすにもかかわらず、透湿性がものすごく高いので、雨が降らない普段の山行でもずっと着ていられる。ウィンドブレーカーの役割も、もちろん果たす… というイメージかと思います。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

もし本当にそうなら、アウター+レインウェアという組み合わせをやめて、これ1枚にしてしまえば秋〜春のハイキングで軽量化になるかもしれない。と思ったのが、これを購入した動機でした。私は積極的に雨天を歩くことはないので、いつもザックに入っているレインウェアを取り出すことがほとんどないのです。しかし、レインウェアを持たないわけにはいきません。

主な特徴を観察してみよう

さて、細部を観察してみましょう。

ポケット内側のベンチレーション・メッシュは、私が愛用しているミレーのフォルクラ・ストレッチフーデッド・ジャケットと比較すると、縦の長さはほぼ同じなのですが、底のほうが少し狭くなっています。使っていても、やや狭めかなと感じます。しかし、これは物入れとは考えていないので、問題ありません。また、手をいれるとフォルクラほど奥まで入っていかない印象があります。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

フードの大きさは余裕があり、ヘルメットも問題なくかぶれます。下の写真では中にキャップ(MAMMUT Lhasa Cap)をかぶっているのですが、ティフォン50000のフード自体にキャップの庇のようなものが作り込まれているので、キャップがなくとも雨だれを防いでくれます。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

フードはドローコードで締め加減を調整できます。これは、フォルクラではウェア内側に配置されているものです。ジッパーもフォルクラとは違い、止水タイプです。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

大好きなフォルクラと全体的に似たパターンですが、袖の折り返し部分も含めて防水の工夫がされているのがわかります。腰回りも同じような素材。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

裾の調整コードもフォルクラと同じ仕組みです。フォルクラに買い増しした私にとっては、パターンがほぼ同じなので違和感なく着られました。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

長所と短所

短所

最初に短所らしいところを挙げてみます。

ソフトシェルのフォルクラと比べて、一点だけ気になったところがあります。それはジッパーをフルに上げた時、顎(チン)がぶつかって少し落ち着かない感じがするところ。ただ、使い続けているうちに生地も少しだけ柔らかくなってはきますし、そもそも雨が浸水しないように首元がタイトめになるよう設計されていると思うので、欠点とは言えないかもしれません。しかし最初は違和感があったところです。

あとはポケットが浅い、というか、手を入れたまま歩くと肩の位置が少し上になる感じはします。ですが、手を入れたままずっと歩くことはないので(危ないしやめたほうが良い)、これも特に短所とは感じませんが、気になる人はいるかもしれません。

気になるところは逆にそのくらいしかありません。

長所

次に、良いところを挙げてみます。

ソフトシェルのフォルクラと比べると「少しだけゴワゴワ」はしているのですが「これ、レインウェアなんですよ」と言われたら「ええっ!?」と驚いてしまうほどゴワゴワ感は少ない、とも言えます。レインウェアなのである程度のゴワゴワはあるけれど、レインウェアでこのゴワゴワ感の少なさは驚異的だな、とも思えます。

MILLET ティフォン50000ストレッチ ジャケット

■ ちなみに上の写真でティフォン50000の下に着ているのはマムートのフリース、ゴブリンジャケットです。暴風や厳冬はこの組み合わせでいまのところ怖いものなし!

普通のゴアテックスのレインウェアのゴワゴワ感・パリパリ感とは全く違う着心地で、内側も外側も「シルクタッチの肌触り」と言われたら確かにそう言って差し支えない、と感じます。レインウェア特有のカサカサ・ガサガサ音も少ない。さすがに無音に近いとまではいきませんが、ゴアテックスのレインウェアに比べるとはるかに静かです。

伸縮性、ストレッチ性があるのも素晴らしい。岩を登るときなど、腕を伸ばしても動きが妨げられることがありません。これはレインウェアとしてはやはりすごいなと思います。運動性能は一切犠牲にせず防水・防寒能力を持たせているわけです。

そして透湿性。ティフォン50000の最大の魅力がこれですね。レインウェアやウインドブレーカーを防寒着代わりにして行動する場合、運動強度が高くなってくると汗が蒸発せずに蒸れてくるのが普通ですが、ティフォン50000だと「それがまったくない」というのは言いすぎですが「ほとんど蒸れを感じない」というのは確実に言えます。

蒸し暑い時は、その蒸し暑さ自体が完全に消えるわけではないのですが、湿気が内側にこもらない感じは確かにあるのです(説明がちょっと難しい感覚なのですが)。

雪山ではまだ使っていないのですが、これまで霧雨の中、ゲリラ雷雨、雨中でのテント撤収時のほか、寝袋の中で防寒着としても使ってきました。そういったシチュエーションでは、バッチリ快適に使えてきました。寝袋の中で着ていても、蒸れずにある程度の伸縮性もあるので快適に眠れるのでこれも素晴らしい。

レインウェアとしての防水性も、いまのところ不満は全くなし。特にテント撤収作業時は、袖口や顔から浸水することもほぼなく、着ていて良かったと思いました。ただ、これで何時間も雨の中を歩いたことはなく、そういう山行をする予定もないので、そのあたりのガチ使用感についてはいまのところ語れません。

現時点での感想まとめ

果たしてティフォン50000は、1年中ず〜っと使えるか。というと、夏の低山などでは、もちろんこれは使えないことのほうが多いと感じました。さすがに一定以上の気温・湿度だと、無理な日はあります。他に使っているソフトシェルのフォルクラのほうが通気性はやはり高く、快適さも勝ります。降水予想が0%なら、ソフトシェルのほうがより心地良いとは思います。

MILLET フォルクラ・ストレッチフーデッド・ジャケット

ソフトシェルのフォルクラの着心地の素晴らしさも再認識

しかし春秋ではレインウェアを持たずに、ティフォン50000をアウターに着るだけで出かけられるのは大きいメリットです。通気性と着心地の良さは非防水のフォルクラにはさすがに劣るものの、「いやいや、これはレインウェアでもあるのだから、比べたらかわいそうじゃないか。むしろレインウェアでこの快適さ・動きやすさはすごいじゃないか」というのが正直な感じです。

やや高めの買い物でしたが、買って後悔したところはまったくなかったですね。フォルクラの出番は、やはり減りました。これ1枚で1年中全てに対応できる魔法のウェアかというと、そこまでは言えないですが、魔法のウェアに限りなく近いのではないか、と言っても良いように感じています。

サイズは、いちばん小さいEURO XSサイズが日本のSサイズに対応しています。EURO Sだと日本のMサイズ。EURO Mだと日本のLサイズになります。私は下のAmazonのページでSサイズを購入したところ、日本のSサイズでした。

なおティフォン50000のバリエーションとしては、引き裂き強度がより高い「タフ」や、より温かい「ウォーム」版もあります。岩場での登降が少なく、1年中使いたい方であれば、ノーマル版で良いと思います。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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