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SEA TO SUMMIT X-ポットケトルを使ってみたら連泊キャンプで心に余裕が生まれた

4.0

SEA TO SUMMITのおりたためるヤカン「X-ポットケトル」をご紹介します。底部はアルミ、フタは透明な強化プラスチック製なのですが、胴体部分はシリコン製になっているため、同社製の他のシリコン食器同様にコンパクトにたためるところが最大の特徴と言えるでしょう。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

筆者は普段のテント泊では小型軽量なシエラカップでちょびちょびとお湯を沸かすことが多いのですが、同じテント場で2泊以上する時など一度にたくさんお湯を沸かして、のんびり・ゆっくりとした時間が過ごせそうに思えたので、少し高いかな? とは思ったのですが導入してみました。

ストーブ専用・焚火での使用は不可

このケトルはストーブ(バーナー)専用です。シリコン製の側面部分に火が回ると溶けてしまうため、焚き火では使えません。フタの”DO NOT EXPOSE WALLS TO FLAME(側壁を炎に晒さないように)”という注意書きは、シールではなくプリントされています。ちなみに私はOD缶+ストーブ(SOTO アミカス)で運用しているのですが、安定性は非常に良いです。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

アルミ製のベースプレートには細かい注意書きがあります。外側の黒い線から炎をはみださせない・持つ時はストーブを消してから30秒待つ・空焚きしない、などと書かれています。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

コンパクトバーナーなら特に神経質にならなくてもこの黒い線から炎がはみでることはあまりないように思います(底面は直径15cmもあります)が、バーナーの炎の大きさは目視が難しいので、風が強い場合は要注意。側壁が溶けてしまったらおしまいですから、できれば風防を立てて炎の大きさを確認したほうが良いでしょう。

■ 風が強い環境だとバーナーの火はかなり横に広がったりするので、気をつけましょう。暗い時はわかりやすいですけれども

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

実用的な容量は1Lほど

公称容量は1.3Lとなっていますが、それはひたひたに水を満たした時の話で、実際の運用では一度に沸かせるのは1Lくらいと考えたほうが良いです。下の写真のように、シリコン部に目盛りがあります。”MAX SAFE FILL”とは「ここまでにしておいたほうが安全ですよ」という意味で、その場合は800mlが目安です。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

1Lも沸かせると、このケトルで1度水を汲んでくるだけでアルファ米・フリーズドライ食品、カップスープ、コーヒー1人分をつくれます。全てを熱湯で作る必要もないですし、追い焚きも手軽なのでヤカンはやはり便利この上ないですね。下の写真の日は尾西のドライカレーを食べました(めっちゃおいしいので最近ハマっています)。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

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注ぎ口が便利

ケトルというだけあって、注ぎ口があります。この日は手抜きして個包装のドリップコーヒーでしたが、注ぎ量をうまくコントロールできるので「蒸らし」に必要な少量のお湯を垂らすこともできます。シエラカップだとこれが結構難しいんですよね(注ぎ口のあるシエラカップもありますけれども)。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

フタが透明なのも、沸騰したかどうか目視できるのでケトルとしては良いところです。

こ、これは円形の袋ラーメンを茹でるのにも便利では… タマゴも一緒に…! とも考えたのですが、後で詳しく説明するように、これは湯沸かし専用として使ったほうが良いと思います。

X-マグとのスタッキングもOK

このケトルの最大の長所は、ヤカンなのにペッタンコにたためるところですが、さらに内側に同社製のX-マグを収納できます。私が使っているX-マグは480ml・直径11cmのタイプで、きれいに入ります。2枚入ると思います。

SEA TO SUMMIT X-ポット ケトル

重さはラバーバンド込みで実測198gです。蛇口のあるキャンプ場で水を汲むのなら、ウォーターキャリーパックやナルゲンボトルを持っていかずに済むので、トータルではそこまで重量増にはならないかなと感じています。何よりザックの隙間に入れられるのが良いです。

■ さらに便利情報。X-ポットケトルは下の記事で紹介しているデルタボウルの中にも収まりました

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料理では使わないほうが良い… と思う

注意点としては、このケトルでは料理をしないほうが良いだろうということです。というのも、私は以前からSEA TO SUMMITのX-マグを使っているのですが、これがなかなか匂いが取れないのです。SEA TO SUMMIT自体は、匂いは残らない、と言っているのですが、実際はそんなことはありません。使用後に自宅で洗剤でよ〜く洗っても、染み付いた食品の匂いが取れません。

コーヒー用に使えばコーヒーの匂いが取れず、スープ用に使えばいくら洗ってもスープの匂いが消えません。結果、コーヒーの匂いがするスープ、スープの匂いがするコーヒー、という残念な結果になります。また、金物と違って油は洗剤を使わないと落ちてくれません(そのため現場での使い回しが難しい)。

このX-ポットケトルもX-マグと全く同じ素材であるように思えるので、見た感じはサッポロ一番みそラーメンとかチキンラーメンとか辛ラーメンとか棒ラーメンを煮込むのに超便利そう、と思えるのですが、先述の経験からそれは諦め、湯沸かし専用にしています。

SEA TO SUMMITのシリコン食器はコンパクトで機能的で気に入ってはいるのですが、「これは湯沸かし用」「これはコーヒー専用」「これはスープ専用」などと決めて運用したほうが良いと思います(コーヒーと紅茶を兼用にするのも、お互いの匂いが強く残るので個人的には不向きと感じます)。そういうふうに使うなら便利で良いものだと思います。

お湯を沸かすという目的に限定すると、このX-ポットケトルは私が想像していた通りの製品で、ゆっくりのんびりしたテント泊で大活躍しています。湯沸かしはシエラカップのみ、というミニマルなスタイルも良いですが、こういうヤカンは気持ちに余裕ができますね。連泊では特におすすめ。

お値段がちょっと高いかな… とは思うので、星は4つということにしておきます。それでも買って良かったと思っています。見た目も可愛いですし、使っていて良い気分になれます。

■ 調理用には鍋形状のX-ポットもあります。ちゃんと料理もしたい方はこれも併用するのが良いと思います。ラーメンなどならフレイバーが少し混ざってもそこまで気にならないだろうと思います

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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