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Snugpakの「ジャングルバッグ」を快適に使うために知っておくべきこと【重大な短所2つ】

3.5

Snugpakの「ジャングルバッグ」のレビュー記事です。バグネット付きの3シーズン化繊シュラフで、ジッパーを全開にすると毛布のようにも使えるのが最大の特徴と言える製品です。今では非常に気に入っているのですが、使いはじめたばかりの頃は「これ大失敗したかもなぁ」と購入を後悔しました。使い方にコツがあるので、好みの分かれるスリーピングバッグかもしれません。

Snugpak ジャングルバッグ

基本的な仕様

ジャングルバッグの全体はこんな感じです。ごく普通の封筒状で、縦が220cm。横が75cm。底面のジッパーも開いて毛布状にすると、横150cmになります。かなり広々としているので背の高い方・身体の大きい方でも使いやすいと思いますし、冬に他のバッグと併用するのもラク。内ポケットもあります。カラーはオリーブとテレインカモの2色で、私はオリーブを買いました。

Snugpak ジャングルバッグ

下の写真は底面ジッパーの様子。サイドとボトムのジッパーは別々になっているので、足だけ出すこともできます。下には両側にフックもあり、吊るして乾かす時などに便利です。化繊素材なので、ダウンシュラフと違って濡れをあまり気にしなくて良いところが気に入っています(タープで雨が吹きこんできた時とか)。洗濯も可能。

Snugpak ジャングルバッグ

公式には快適温度が7℃・最低温度が2℃とされています。この数字は「少し盛っている」感はあり、実際は7℃だと単体では厳しいかと思います(湿度の高い冬の伊豆諸島などでは着込んでいれば行けるかもしれない)。とはいえ厚みからするとかなり暖かい印象はあり(どちらかというと薄いほう)、生地も肌触りが良いです。

湿度が高ければ気温15℃以上だと蒸し暑くて厳しい。15℃以下〜10℃以上でも乾燥していれば寒い時もあります。春〜秋の低地タープ泊・フロアレステントでの運用がベストかなと思います(そういう目的で導入しました)。冬は他のバッグとのペアリング次第。私はSEA TO SUMMITの「サーモライト・リアクター・フリースライナー」と併用することもあります。対応気温レンジは使用環境・グラウンドシートやパッドとの組み合わせでいくらでも変わる印象です。

Snugpak ジャングルバッグ

重量は付属のコンプレッションバッグに入れた状態で実測936gでした。コンプレッションバッグのみだと60gなので、シュラフ本体は876gになります。公称重量は900g(恐らくバッグ込み)なので、個人的には許容範囲内の誤差です。

バッグに雑に詰めた時のサイズは約28x15cmという感じで、長さは「ナルゲンの広口1.5Lボトル」とほぼ同じ、容積的には500mlペットボトル3本分に近いと感じます。

重大な短所が2つある

ジッパーが使いにくい

このジャングルバッグの第一の短所、それはジッパーの使いにくさです。滑り自体はそこまで悪くはないのですが、とにかく内側のライニングを噛みこむので、ジッパーをスライドさせる方向にバッグを丁寧に伸ばした状態で、ゆっくり慎重に操作する必要があります。もし噛みこんでしまったら、無理に動かそうとせず、内側の薄い折り返し部分を指で反対側に引っ張るとうまく外せます。

Snugpak ジャングルバッグ

特にバグネット側のジッパーの噛みこみやすさが顕著で、バッグの中に入って内側から操作しようとしても大体引っかかってしまい、ものすごいストレスを覚えます(これから寝ようというのに一汗かくことになります)。これまで使ってきた寝袋・テントで採用されていたジッパーの中ではワースト・ワンの使い勝手です。

Snugpak ジャングルバッグ

この問題にどう対処しているかというと、バグネットを使う時はバッグの中に入る前に、バグネットのジッパーは外側から完全に閉じておいて(生地を伸ばしてゆっくり動かせば大体うまく閉められる)、そちらはもう一切触れず、サイドのバッグ本体のジッパーだけ開いてそこからもぐりこみ、中からそのジッパーだけ開閉します。バッグの中からのバグネット開閉は、数分間格闘して疲れ切ってしまいます(そのあいだに蚊が入ってこようものなら怒り爆発です)。

バグネットはキャップの併用が必須

このバッグにはもうひとつの大きい短所があります。それはバグネット(顔の蚊帳部分)がペタッと顔に直接触れてしまい、呼吸がしづらくなるだけでなく、その状態だとネットに着地した蚊に上から刺されてしまうことです。身体を横向きにしてサイドスリーピングするとある程度回避できるのですが、快適ではなく、限界はあります。

Snugpak ジャングルバッグ

しかしこのバグネットの問題は、あるアイテムで回避できます。それは帽子、キャップです! 下のようなつば付きキャップ(写真は筆者愛用のMAMMUT Lhasa Cap)をかぶると、つばがネットを良い感じに持ち上げてくれるのです!

MAMMUT Lhasa Cap

これをかぶった状態でも、バッグ内の頭の位置は微調整する必要はありますが、まるで魔法のように問題が解決します。キャップをかぶるかかぶらないかで、天国と地獄ほど違います。ちなみにつばが柔らかいハットなどでは効果がありません。キャップが良いです。

このため現在の私の運用では、眠る時にキャップをかぶっておく必要があります。ややハードコアな、サバイバリスト的な使い方ですが、ミニマル装備のタープ泊で一晩くらいなら、慣れると問題ない感じです。でもバグネットが必要なのは夏が多いわけで、すると暑いわけです。ちょっと悩ましくはあります。対応気温についても、ユーザーに工夫と試行錯誤を要求する製品です。

Snugpak ジャングルバッグ

購入直後はジッパーの噛みやすさと息苦しさから、無駄なものを買ってしまった… と後悔したのですが、どうやってうまく使おうか、と考えていくうちに気に入るようにはなりました(できの悪い子ほどかわいい、みたいな感じでしょうか)。

肌触りも良く、化繊のわりに蒸れにくく、3シーズン用寝袋としての基本機能・品質は大変気に入っています。ジッパーがより高品質で、バグネットを持ち上げる仕組みが内蔵されていたら満点でした。値段からすると高級感さえあり、不思議と愛着の湧く寝袋です。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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