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三宅島の「アカコッコ館」は島の自然や地理を総合的に学べるので鳥好き以外にもぜひ訪れてほしいと思った

東京・伊豆諸島で3番目に大きい島、三宅島(みやけじま)。2023年10月中旬にハイキング旅行にはじめて訪れた際、「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」に立ち寄ってみたのでその時の感想を書いてみます。ここは絶対に寄ったほうが良いところです!

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

訪問前は「野鳥観察舎があるだけのスペースなのかな?」と想像していたのですが、アカコッコをはじめとする三宅島の野鳥はもちろんのこと、島の自然・地理・環境について「大きいイメージ」をつかむことができる郷土資料館的な側面も持つ施設でした。バードウォッチングに興味がない方にもかなりおすすめです。

アカコッコ館へのアクセス

まず場所から。アカコッコ館は三宅島南部の中央付近、坪田(つぼた)地区と阿古(あこ)地区のちょうどあいだくらいにあります。伊豆諸島最大の淡水湖である「大路池(たいろいけ)」のすぐそばなので、一般的にはセットで訪れることになると思います(アカコッコ館から大路池に至るトレイルもあります)。

■ アカコッコ館付近の地理院地図(拡大・縮小できます)。

住所は三宅村坪田4188。三宅島一周道路沿いに看板が出ています(控え目な看板なので見逃さないよう)。入口の向かい側には飲料の自販機が2台ある建物がありました。アカコッコ館には自販機はないので、そこで飲み物を買っておいたほうが良いかもしれません。入口には駐車場があり、そこからアカコッコ館まで2〜3分ほどの歩きです。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

アカコッコ館は基本的に月曜日がお休みで、月曜が祝日の場合はその翌日がお休み。開館時間は9:00〜16:30。入場料は一般200円です。詳しくは後述しますが、日本野鳥の会のレンジャーさんが常駐されており、野鳥や三宅島の自然について様々なお話を聞くことができます。公式サイトはこちら。訪問前に最新情報をチェックしてみてください。

野鳥観察スペースと充実した展示資料

アカコッコ館は本館・視聴覚棟(トイレ併設)・学習棟の3つから成っているのですが、筆者はこの日ものすごく疲れていたので本館以外に足を運ぶのを忘れてしまいました。下は本館の内部。縦長の平屋で、奥の建物では潜望鏡で野鳥観察ができるほか(双眼鏡の貸し出しもあり)、この時は三宅島の噴火などをテーマにした写真が多く展示されていました。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

アカコッコの気ぐるみもありました。これを着て記念写真を撮るのが人気らしいです。私も着てみたかったのですが、ソロのハイキングおじさんなので「着たいのですが…」とは言い出せず、遠くから愛でるだけにしておきました。ちなみにアカコッコは三宅島のシンボル的な鳥。筆者は八丈島でもアカコッコの声をたくさん耳にしました(鳴き声は八丈植物公園の機械で覚えました)。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

この観察棟の東側はちょっとした庭になっていて、アカコッコやオーストンヤマガラ、シジュウカラなどがここに遊びにくると観察できるわけです。この日は干上がっていましたが水場があり、春にはアカコッコが水浴びしている姿も見られるそうです。アカコッコはミミズが好物なので、観察する時は木の上よりも地上を見たほうが良いですよ、とスタッフさんが教えてくれました。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館の観察コーナー

下の写真のイラストを見ると、庭の様子がわかると思います。筆者が訪れた10月中旬のこの日は、残念ながら野鳥の姿は見られませんでした。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館の観察コーナ

レンジャーさんによる島の自然解説が素晴らしい

しかしアカコッコを観察できずガッカリして帰ったかというと、そんなことはありません! 常駐されている日本野鳥の会のレンジャーさんが「よろしければ島の自然について解説しましょうか」と声をかけてくださいました。

この日私は早朝から大久保浜キャンプ場を出発し、ひょうたん山椎取神社・大路池と回っていたので既に疲れ切っていて眠かったのですが、こんな貴重な機会を逃すわけにはいかないので是非お願いしました。

レンジャーさんはまず三宅島のジオラマ模型のところに私を連れていってくれて、噴火・植生の回復の歴史・地理などについて解説してくださいました。このジオラマは三宅島中学校・小学校の生徒たちの手によるものとのことで、地形図を立体的に投影したようになっていて素晴らしいものでした。地理院地図のリアル3D版ですよ!

三宅島のジオラマ模型

2000年の噴火以前に制作されたジオラマとのことで、現在の島の姿と違っているところなども含め、写真も組み合わせて解説していただきました。ちなみにこの時の入場者は私一人だけ。一人だけのために詳しいガイドをしていただいて大変感激しました。ただ、私は疲れていたのでお話を聞いている時に眠そうだったかもしれません(レンジャーのお兄さん、すみません。でもお話は全部聞いていました!)。

三宅島のジオラマ模型

島に関する質問があれば何でもどうぞ、とのことで、アカコッコは冬どこにいるんですか、三宅島と八丈島の気候は結構違うんですか(ほぼ似たようなものとのこと)、なぜ三宅島にはカラスが多いんですか、等々、いろいろ質問して教えていただきました。つまりアカコッコ館は、特に鳥に興味がない人でも訪れるべき有益な情報拠点なのでした。

あらためて三宅島のジオラマ模型を眺めてみましょう。私はこの記事で言いたいことがあります。それは、こういうものはインターネットでは見られないということです! そして、こういう模型がずっと残っていてほしいと思うのです。TVディスプレイがあってデジタル合成された三宅島の精細な映像を流すこともできるかもしれませんが、この3D模型はここでしか鑑賞できません。

三宅島のジオラマ模型

大路池・アカコッコ館の前に歩いてきた「ひょうたん山」や「三七山」はこんな地形になっているのか、と、まるで空撮映像を見ているかのように理解が深まりました。

考えてみれば、アカコッコをはじめとする野鳥はそれが生息する自然環境とは切り離せないわけで、三宅島の場合は度重なる噴火(直近では1983年と2000年に雄山が大噴火。2000年の噴火では島民全員が島外に避難した)と、自然環境へのその影響がこの施設で併せて考察・解説されているのはごく当然のことなのでした。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

下は館内に展示されていた三宅島の火山地質図。この時は頭が回らなかったのですが、この地質図、売っているなら買いたかった… 伊豆大島では同じような地質図のポスターが港の売店で販売されていて、私は買って部屋に貼っています。と思っていま調べたら、地質調査総合センターというサイトで閲覧はできました(印刷版を手に入れたいところ)。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

勿論アカコッコをはじめとする野鳥に関する展示・書籍などは豊富でした。子どもが塗り絵を楽しめるスペースなどもあったので、親子連れでも楽しめると思います。単なる「野鳥観察舎」ではなく、三宅島の歴史・自然の概要を把握できるエンターテイメント空間、という印象でした。

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館

下は現地で購入したアカコッコのピンバッジ。1000円でこれを買うと、寄付になります。同じくアカコッコ館でいただいた「三宅島自然ガイド」のアカコッコとツーショット。とっても可愛いですね。これをザックに付けてまた三宅島に遊びに行くつもりです。

アカコッコのピンバッジ

アカコッコ館のレンジャーさん、親切に解説していただいてありがとうございました。この記事をお読みの方も、三宅島来訪の際には是非ハイキングコースに組み入れてみてください。雄山はまだ登れませんが(今年から試験的にクローズドツアーが行われている模様)、歩いて楽しいところがたくさんある島です。

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著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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