山のコラム

下山中に爪先が痛み出したらその場でチェックすべきこと 足指に爪下血腫ができると一週間は山歩きできない

山歩きをしていて、特に下山中に爪先が痛み出したことはありませんか。私は先日、東京・奥多摩の六ッ石山から石尾根縦走路を下っている時、終盤でこれまで経験したことのない痛みを長時間、爪先に感じていました。

東京・奥多摩の石尾根縦走路

奥多摩の石尾根縦走路

しかしトレッキングポールを使うようになってからは膝が痛むこともなく、調子良く山歩きできているので「下りが長いから指先に負担がかかっているだけだろう」くらいに思っていました。気にせず歩いていたところ、後日痛い目にあってしまいました。

一週間は山歩きできないくらいの痛み

多くの場合、指先の痛みは電車の中でシューズの紐をゆるめたり、指を動かしていれば翌日にはほぼ消えているのですが、この時は事情が違いました。翌日も翌々日もじんじんと指先が痛むので、よく見たところ、左足の親指と薬指が内出血していました(爪下血腫・そうかけっしゅ、という症状)。写真は、見た目が気持ち良いものではないのでぼかしておきます。

足の爪下血腫

上の写真は問題の登山から10日後に撮影したものです。この時でも爪の下に、派手な血溜まりが残っていました。私の場合、一週間は山歩きできない・しないほうが良い感じの痛みがありました。この10日目くらいでは、日常生活では歩行時に痛みがでない程度には回復しました。血溜まりは当日・翌日よりも2〜3日経ってからのほうが色が濃くなりました。

基本的には保存治療になります(痛みがひどい場合は病院に行ってください)。

治るまでにどのくらいかかる?

(2023年9月末追記)この記事を書いてから半年ほどが経ちました。現在、爪下血腫ができた爪の先3mmほどはまだ変形しています。爪が伸びるにつれて、血が溜まっていた部分が上のほうに移動していきます。その過程で爪の先端側が上に反り返るようになりますが、時間が経つにつれて少しづつ元通りになってきました。私の親指と薬指はまだ先端が反り返っていますが、あと一ヶ月ほどで完治しそうです。なおこの間、普通に山歩きできています。普通に伸びた爪を切りながら、半年は待ちましょう。

考えられる原因

さて、この爪下血腫の原因は何だろう、と考えてみました。奥多摩の石尾根縦走路を歩くのは、その日がはじめてだったわけではありません。鷹ノ巣山方面からも含めて、5回ほど歩いたことがあります。先日の六ッ石山コースの時よりもずっと長い距離を歩いたことがあります。しかし、その時は爪下血腫にはならなかったのです。なぜだろう。

シューズが原因でしょうか? その日はもう2年ほど愛用しているSalomon X Ultra 3 MID GTX(ワイド版)を履いていたのですが、これが原因でしょうか。しかしこのシューズで、石尾根縦走路を含む20km以上を問題なく歩いたことがあるのです。疲れはしたものの、指先は無事でしたよ。そのためシューズが原因だとは考えていません。

Salomon X Ultra 3 MID GTX

2年使っているSalomon X Ultra 3 MID GTX

ただしこのシューズは軽量で柔らかめのハイキングシューズで、石尾根ばかり延々と歩き続けるような場合は、より剛性の高いトレッキングシューズのほうがベターな選択なのかもしれません。また、これで相当の距離を歩いてきたので、このシューズが少しヘタってきた可能性もなくはありません。

しかし、本当の原因は他にあると思います。私の推測では次の2つ。

  1. シューズの紐の結び方が適切ではなかった
  2. 自分の歩き方が変わった、または歩き方が雑になっていた

爪下血腫は、爪先に大きい負担が長時間かかることが原因で起こります。爪先がシューズ先端に密着している状態で固い石尾根をずっと下り続けたら、なってもおかしくないでしょう。

指先と靴の先端のあいだには少し隙間があるべきで、シューズの紐は、かかとがシューズに密着した状態で足の甲がズレないようにしっかり縛り、爪先はシューズ先端に触れないようにしたほうが良いのですが、この日は紐の縛り方がうまくなかったのかもしれません。

歩行開始前・開始後にシューズの紐を結びなおす習慣はあるのですが、この日はたまたま忘れていたのか。紐が少しゆるんだまま歩き続けてしまったのか。その可能性は、なくはないです。石尾根に限らず、下りセクションが長い場合は爪先のまわりに空間ができるように紐を結びなおさないといけませんね。違和感を覚えたら、放置せずにその場で再確認したほうが良いです。

もうひとつ考えられる原因は、以前よりも長距離を、より速く歩けるようになったものの、そのぶん足指への負荷が増えているのではないか、というもの。あるいはトレッキングポールを積極的に利用するようになり、歩き方が少し変わり、膝への荷重が軽減されたぶん、指先にヘンな力が加わるような歩き方になっているのかもしれません。

恐らくはそれら複数の原因で起きた症状なのだろうと考えています。紐をきちんと調整して、爪先に負担がかかりにくい歩き方をすれば改善するものと考えています。より剛性の高いシューズを試してみる手もありますが、シューズ自体に問題があるとはあまり思えず、超お気に入りの軽量なSalomon X Ultra MID GTXをやめる予定はありません。

などと言いつつ、テント泊込みの石尾根歩き用に新しいシューズを買ってみても良いかな、とScarpa Mescalitoなどを検討中だったりもします。Salomon X Ultra MID GTXはハイキング用に新品をまた買うとして、岩稜の縦走用に少し硬めのシューズも買おうかな。使用頻度は多くなさそうなので、そこが悩みどころです。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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