東京都のキャンプ場キャンプ場紹介・利用体験記

伊豆大島のトウシキキャンプ場に泊まってみた感想:山からは遠いものの唯一無二の開放感と波音を楽しめる

伊豆大島(東京都)南部にある「トウシキキャンプ場」の紹介記事です。大島は良い宿もたくさんあるのですが、キャンプもするハイカーの方なら三原山歩きの後にここで幕営するのも選択肢のひとつ。とにかく広々としていて、開放感抜群です。

トウシキキャンプ場

下の記事で2024年10月のトウシキキャンプ場の様子をお伝えしています。こちらもぜひ併せてお読みください
【2024年最新版】伊豆大島のトウシキキャンプ場はどこにテントを張るのがおすすめ?
2024年10月、伊豆大島南部のトウシキキャンプ場を久しぶりに利用したので、トウシキではどこにテントを張るのがベストなのか、現在のトウシキはどんな様子なのかをご紹介します。 なおトウシキキャンプ場の概要については下の記事で紹介してありますの...

場所・利用方法・基本設備

トウシキキャンプ場の場所は「大島町差木地(さしきじ)字クダッチ」。東海汽船の大型客船が主に入港する岡田港は島の反対側にあり、高速ジェット船が夏季によく入港する元町港からも離れているため、徒歩での利便性は高くはありません。しかし近くに大島一周道路が走っており、バスが使えます。伊豆大島縦断ハイキングの際に地層大切断面(通称バームクーヘン)へと下山すれば、ここに向かうバスの停留所が近くにあります。

■ 下の地理院地図の十字のあたりがトウシキキャンプ場。波浮(はぶ)港寄りにあります

キャンプ場への入口は4ヵ所あり、正面玄関は「海洋国際高校前」バス停の近くです。バス停で降りたら西に歩くと、この記事冒頭の写真にある道標が見えてくるはずです。そこを左折(南下)するとキャンプ場に着きます。いちばんアクセスしやすいのがこのバス停。徒歩5分です。

■ 下の地図で赤い四角で囲ってあるところは後で紹介する「cafe メルシー」という24時間営業の自販機ショップの位置です。スーパーもこの付近

キャンプ場の利用料金は無料。利用にあたっては事前申請が必要で、大島町のホームページで空き状況の確認・申請ができます。予約はウェブのみで、平日なら1〜2日でメール返信が来ると思います。

2024年10月現在、ウェブによる申し込みだけで申請が完了するようになっています(メールでの確認を待つ必要なし)

最大テント数は2023年5月現在、20張。 2024年10月現在、20組。現地に管理人さんはいません。サイトはフリー区画。直火による焚き火は不可ですが、焚き火台があるなら「ぱれ・らめーる(大島勤労会館)」という比較的近くの施設で薪を買って楽しめます(ただし水曜日は休み)。

設備としては、清潔な洋式水洗トイレ・冷水シャワー・炊事場・かまど・屋根付きの休憩舎・ゴミ捨て場があります。大島警察・下地(しもじ)駐在所のあたりまで歩くとスーパー(マルエーマート)もあるので、買い物もできます。設営してから波浮港まで足を伸ばして外食するのもありでしょう。

トウシキキャンプ場はこんなところ

ここからは筆者が実際にトウシキキャンプ場を使った時の写真を使いながら現地の様子をお伝えします。天気の悪い日の写真しかないので申し訳ないですが、晴れた日のトウシキの開放感は現地でのお楽しみにしていただければと思います。

トウシキキャンプ場のテント場は大きく考えて、トイレ・炊事舎を中心として、西エリア・東エリアに分かれます。八丈島の底土野営場と似たようなレイアウトです。東エリアでは、テント場はさらに場内道路の北側・南側に分けられます(北側は松林寄り、南側は海寄り)。

下は西エリアのテント場を海岸側から撮ったものです。長い木柵が続いていますね。木柵の向こう側の芝生がテント場です。この木柵が海からの強い風をある程度ふせいでくれます。手前に見えているのは遊歩道。

トウシキキャンプ場

西エリアに設置した筆者のテントです。ここからは三原山方面の眺望が良いです。地面にはゴロゴロした大きい石はないのですが、細かい礫はあるのである程度の小石除去は必要です。地面はまあまあ平らなほうですが、完全に平らなところはあまり多くはないです。あったとしても芝生エリアのド真ん中だったりするので、風当たりが強くなるためきちんとペグダウンする必要があります。

トウシキキャンプ場

ちなみにこのキャンプ場から、はからずもイソカネタタキを東京の自宅まで連れ帰ってしまったことがありました。良い思い出です。

下の写真の左側に見切れているのがトイレ。夜間は電灯が点いているので、気をつけて歩けばヘッデンなしでもたどり着けると思います。右手側、木柵の手前に見えているのが東のテント場。場内道路をはさんで反対側にもテント場があります。そちらの写真はないのですが、松の木の下にテントを張ることもできます(ただし地面はあまり良くありません)。

トウシキキャンプ場

東エリアは、木柵の近くだと地面が斜めのところが多いです。

下の写真はトイレのすぐ近くにある炊事舎とゴミ置き場です。この写真は東側から撮ったものです。広々としていて清潔で使いやすいです。筆者のテントがある西エリアは、左に見えている石垣の向こう側にあります。

トウシキキャンプ場

キャンプ場の利用注意看板には「テーブルや芝生での直火・焚火はやめましょう」とあります。すると焚き火台もダメなのかなと思ってしまいますが、貝の博物館「ぱれ・らめーる」が入っている「勤労福祉会館」ではキャンパー向けに薪を販売しており、マナーを守った上での焚き火台なら使用可能です。しかし地面に直火の痕跡を見たことがあるので、そのうち焚き火台も禁止されないか心配です。

トウシキキャンプ場

海側の遊歩道から見る海岸の風景も素晴らしいです。溶岩が高温で酸素と反応した時の痕跡である、赤くもろい石質の崖です。近付くと危ないので要注意。オオシマハイネズの植生も見られます。

トウシキキャンプ場

円錐型の美しい利島の姿も見えます。曇っていても東京都内のように空気が濁っていないので、美しい雲と空模様を楽しめます。

トウシキキャンプ場

松に覆われた遊歩道を伝っていくと、トウシキ遊泳場のあるところに出ることもできます。

トウシキキャンプ場

大島一周道路の「下地駐在所」の交差点付近には、「大関寿司」というお寿司屋さん(要予約)や、その向かいに「cafe メルシー」という24時間営業の無人自販機ショップがあります。メルシーはアパートの1階という感じの建物です(メルシーは元町にもあります)。

メルシー

メルシーでは飲料やお惣菜パン・シュークリームなどのお菓子のほか、袋菓子、カップラーメンも手に入ります(ただしお湯の提供はないので注意してください。このお店で買ったものを温めるための電子レンジは備え付けられています)。

メルシー

ポテトチップスの品揃えが特に充実しています。困ったらここに来れば飢え死にすることはないでしょう。

メルシー

メルシーの近くには「マルエーマーケット」と「さわだ商店」というスーパーもあります。外からは小さく見えるのですが、魚・肉・野菜その他、品揃え豊富です。閉店が早いので設営したらすぐに買い出しに出るか、最初に買い物をしてからキャンプ場に向かうのが良いでしょう。

なお薪の販売がある「勤労福祉会館」は下地駐在所からさらに東に歩いたところにあり、距離は結構あります。

下はトウシキキャンプ場で迎えた朝の様子。テント泊をしていると、おそらく見回り車両と思われるクルマが深夜でも近くを定期的に走っているので、安心して泊まれるキャンプ場だと思います。

2024年10月に再利用したところ、キャンプ場利用者ではない大型トラックや商業車両の通行・駐車がかなり増えていた印象がありました(近くで工事をやっているのかも)。特に道路から近い西エリアはゆっくりできないので、昼間もキャンプ場でゆっくりしたい場合は東側サイトの利用がおすすめです

トウシキキャンプ場

筆者は伊豆大島が大好きなのでこのキャンプ場は数回利用していますが、大体いつでも風が強いですね。見晴らしが良くて地面が平らな場所を狙いすぎると風が問題になるので、テントは丁寧にセットアップしたほうが良いでしょう。ペグダウンは容易です。にわか雨も多いですが、空はきれいで星もよく見えます。海のすぐそばですから、波の音は格別です。

トウシキキャンプ場

本当に気持ちよく過ごせるキャンプ場です。開放感という意味では八丈島の底土野営場よりも上ですね。現在テントは20張までとされていますが、実際はその倍のキャパシティがあると思います。

三原山ハイキングと絡める場合、やや微妙な立地ではあるのですが、三原山を歩いた後に大島一周道路の岡田港側、あるいは元町港側に歩いて降りていけばバスがありますし、元町にはおいしい飲食店も多いです。ただし元町から海洋国際高校前に行くバス(波浮港ライン)の最終は17:40なので(2023年現在)、元町で夕食をとるならトウシキまではタクシー利用が現実的かなと思います(距離約13km、タクシー料金は4000円前後かなと思います。歩くと2時間半ほど)。

大島一周道路は全面舗装路ではありますが、西側はどこでも海が美しく開け、東側は樹林になり裏砂漠に寄り道もできるので(サル・リス・キョンなどの動物もよく見かける)、時間さえあれば港までの帰路は徒歩でも楽しめます。伊豆大島でテント泊してみたい方は是非お試しください。

なお島の東側にも「海のふるさと村」というキャンプ場があるのですが、大島一周道路からはやや遠く、近くにバス停もないため徒歩ハイキングでの利用は難しいところがあるかもしれません(大島海浜植物群落や裏砂漠を中心に歩く時は良い候補になるとは思います)。

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著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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