八丈島の八丈富士(紹介記事)を登る時は、2つの目的で登山口から少し離れたところにある「ふれあい牧場」に寄ってみると良いかもしれません。1つは自販機とトイレがあるので、必要なら登山前の支度ができるため。もう1つはもちろん、牛のいる牧場自体を見学するため。
ふれあい牧場の場所
場所は登山口から鉢巻道路を西に800mほど下ったところです。登山口までタクシーで来る場合はまずこの牧場で降ろしてもらったほうが、体力の消耗は少ないと思います。八丈富士ハイキングコースから歩いてくる時は、鉢巻(はちまき)道路に着いてから300m左に下ります。
■ ふれあい牧場周辺の地理院地図(拡大・縮小できます)。標高520mとある場所。八丈富士の南側の中腹にあたります。
八丈島の酪農の歴史も学べる
鉢巻道路から西に下っていくと、さらに牧場に下る道が分岐しています。
下りはじめるとすぐに、左手に牧場と海、三原山が見えてきます。下の写真の右側に見えている建物では、八丈島における酪農の歴史に関する展示が見られます(自販機とトイレもここ。なお水道水は飲用できません)。開場時間は朝9時から夕方6時まで、年中無休。基本的には無人のようでした(ゴールデンウィークや夏休みにはアイスクリームとプリンの販売があるそうです)。
建物の中の展示を少しご紹介。八丈島では、牛は木炭の運搬にも使役されていたそうです。また、大正11年(1922年)に乳量世界一の記録を生んだ「グランソン号」という牛の写真も見られました。伊豆大島同様、八丈島でも酪農が盛んだったことがわかります(明治以降)。
現在の八丈島では酪農はそれほど盛んではないようですが、八丈富士の東側にある「ゆーゆー牧場」で採れる牛乳から「八丈島ジャージープリン」が作られています。
下の牛の積み出しの写真は少し衝撃でした。むかしはこんなふうに船に乗せる必要があったのですね。牛も人もそれぞれ大変な思いをしたようです。
建物からは牧場にさらに降りていく舗装路が伸びています。柵が最低限なので、牛を間近でたっぷり見ることができます。牛の数は数十頭。私の訪問時に見えていたのは10〜20頭くらいだったと思います。
同じウシ科のシカ同様、人間には無関心。でも結構人馴れしているように思いました。毛並みの様子から、大事に育てられていて快適に暮らしているように思えました。牛にとっては天国のような環境ではないかと思います。
こちらの牛さんはお昼寝中。ところでこの牧場にはホルスタインとジャージー牛が放牧されていると聞いていたのですが、上の牛も下の牛も黒毛で和牛っぽく見えますね。
南側には三原山が映えます。ちょうど八丈富士の山頂と同じ方面に開けている牧場ということになります。安物のカメラで手早く撮った写真でもこの風景ですから、実際に行ってみるとどれほどの展望かはお察しください。
ふれあい牧場はさっと眺めても10分ほど。牧場奥までのんびり歩いていって建物まで帰ってきても20分ほどなので、八丈富士の登山前に見ていっても良いでしょう(登山後にここに寄ってタクシーを呼んでも良いでしょう)。
私は先日(2023年4月末)、はじめて八丈島を訪れ八丈富士に登りました。本当に素晴らしい体験でした。八丈富士については下の記事で歩行記とともに紹介しているので、ご興味のある方は是非お読みいただけると幸いです。