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メガネ岩:火が生んで水が仕上げて風が壊した三宅島の名崖

三宅島の観光名所「メガネ岩」をご紹介します。筆者は2023年10月にはじめて訪れました。メガネ岩の起源は1643年まで遡り、現在のかたちになったのは1959年とのことです。いったいどのように生成されたものなのか。なぜメガネ岩という名前なのか。一緒に観察していきましょう。

メガネ岩(三宅島)

メガネ岩へのアクセス

まずは場所から。メガネ岩は三宅島東部の今崎(いまさき)海岸にあります。三宅一周道路から海側に分岐した道沿いにあり、バス停は「二島」が近いです。近場の火山体験遊歩道も含め、錆ヶ浜港から十分に歩いてこられる距離です。

■ メガネ岩付近の地理院地図(拡大・縮小できます)。付近の海岸は「崖」を示す記号がたくさん並んでいますね。

下の写真のようなきれいな道の先に見える真っ黒な岩石群、あのあたりにメガネ岩はあります。この道は、伊豆大島北東部の「サンセットパームライン」に雰囲気が似ていて、サイクリングなども気持ち良さそうです。大島と三宅島、本当に良く似たところが多いです。まるで兄弟島かパラレルワールドのようです。

メガネ岩(三宅島)に至る道

なぜ「メガネ岩」という名前か

1643年、背後の「コシキ火口」から噴出した大量の溶岩が、まず今崎海岸を作ったのだそうです。その溶岩流を長年にわたって波が侵食し、「海食洞」と呼ばれる大きな洞穴を作りました。かつては大きい穴が2つあり、その並んだ姿から「メガネ岩」と呼ばれるようになりました。てっぺんがずいぶんきれいに平たい崖です。

メガネ岩(三宅島)

しかし片方の天井が、1959年の伊勢湾台風で落ちてしまったのだそうです。なぜメガネ岩という名前なのだろう、と訪問前から疑問だったのですが、現地の看板で歴史を読んではじめて納得しました。現地で読めるこうした解説板には、インターネットでは詳しく知ることができない情報が入っていることが多いので、じっくり読んでみると面白いと思います。

ジオスポット・メガネ岩の説明板

この「片方がなくなってしまった」という点は、奇しくもひょうたん山と経緯が似ています。ひょうたん山も、歴史を調べないとなぜそう呼ばれているのかわからない山でした。

メガネ岩の崩壊した天井は、右側に見える隙間のことかと思われます。その先の海上に見えているのは「三本岳(大野原島)」です。毎年11月上旬と2月上旬は、沖合10kmほどのところにあるあの三本岳に美しい夕日が落ちるのを見ることができるそうですよ。

メガネ岩(三宅島)

メガネ岩はどこまで歩いていいとか、どこは歩いていけないとかいった細かい注意書きはないので、足元に注意して散策されてみてください。やや危なめ。

メガネ岩(三宅島)

少し近場も歩いてみました。大小の火山石、形状も水に洗われてすっかり丸くなったものから、エッジーなものまで様々です。三宅島の観光パンフレットには「ダイナミック」という言葉が頻出しますが、納得です。荒々しさがあります。

メガネ岩(三宅島)

三宅島は良い意味で観光客に優しくないところがあり、良い意味で雑です。それが大変魅力的に思えました。メガネ岩も「ここは人の手が入っていない大島のようだ」という印象を持ちました。風景は大島と似たところがありながらも、気候や分布する鳥類は八丈島と似ていたりと、実に不思議な島です。それがおもしろい。

メガネ岩(三宅島)付近

三宅一周道路は約35kmで、徒歩で回ると8〜9時間と言われています。多くの見所が一周道路沿いまたはその近くにあるので、クルマ・オートバイ・自転車などを併用すると良い意味で効率的に回れると思います。錆ヶ浜港では電動アシスト自転車の貸出もあり、この日も仲の良さそうな3人組の女性がその自転車で島巡りされていました。ライトハイクを存分に楽しめる島です。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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