式根島の御釜湾(みかまわん)遊歩道をフルに歩いてきたので(2024年12月)、歩行記とともにコースをご紹介します。式根島南西部の細いトレイルで、途中にリアス式海岸を眺められる3つの展望台があります。近場の神引展望台と唐人津城とあわせて歩いてくるのがおすすめです。記事の最後に全行程の所要時間もまとめてあるので、訪島を予定されている方はご参考にどうぞ。
御釜湾遊歩道の位置
御釜湾遊歩道は、下の案内板(唐人津城にて撮影)の「隈の井」の右側に見える「御釜湾」の上にあり、3つの展望台を繋いでいる道です。私は神引展望台→唐人津城→隈の井と反時計方向に周り、最後は看板の右側で切れているグリーンの線の終点まで歩いて、そこから「野鳥の小道」という短い散歩道を経由して神引展望台入口に戻る、というコースを組み立てて歩きました。
式根島のハイキングコースは、これで全体の8割近くを歩けることになります。これに加えて「出会い橋」から神引展望台に至る「展望トレッキングコース(35分)」と、2〜3の短い散歩道、海水浴場や温泉に降りていく道、村内の道、東の海岸沿いの道を歩けば式根島のほぼすべての道を歩けることになります。
■ 御釜湾は地理院地図および式根島観光協会のサイトでは「みかわわん」とふりがなが振られています。現地の案内板でも「みかわ」表記のあるものを見かけました。他の大部分の看板では「みかま」となっていました。現地発音では「みかわ」が近いのかもしれません
唐人津城から隈の井へ
ここからは2024年12月、私が実際に御釜湾遊歩道を歩いた時の模様をお伝えします。まず唐人津城から隈の井を目指しました。いきなり階段でしたが、全体的にゆるいアップダウンはあっても急登はないので、体力に自信がない方でも安心して歩ける道だと思います。
隈の井、という観光名所の入口です。隈の井って何? と思って周囲に説明板がないか探しましたが、案内板などはありませんでした。ゴテゴテとした案内板がないのは、むしろ良いことだと感じました。
隈の井には唐人津城のような剥き出しの白い石の地面と、オオシマハイネズと松が混じりあいながら芝生のようになった風景がひろがっていました。味わいのある、枯れた雰囲気の広場です。
下は天気の良い日に再訪した時の写真です。崖の近くも見晴らしが良いので、やはり食事休憩にぴったりの場所かなと思います。唐人津城と隈の井、どちらも大休止に向いています。隈の井のほうがいいかな。なおトイレは神引展望台入口にしかないので、出発前に済ませておきましょう。
旅のパンフレットに、このオオシマハイネズに寝そべってもいい、みたいなことが書いてあったので、「そんなことしたら潰れないのかな?」と少し心配でしたが、横になってみました。すると「オオシマハイネズってこんなに丈夫なのか!」とビックリするほどの弾力があり、しかもチクチクすることもなく、寝心地も最高でした。5分くらい目を閉じて昼寝を楽しみました。
隈の井は少し奥までひろがっていて、後で調べて知ったのですが、大雨の後ここに水が貯まって池のようになるのだそうです。なるほど、だから「井」なのか。伊豆大島・三原山の「幻の池」を思わせるものがあります。
奥のほうは崖になっていて、位置関係的に大島の「赤ダレ(三原キャニオン)」を連想しました。奥に見えているのは神津島です。
御釜湾第一展望台へ
隈の井を後にし、御釜湾遊歩道方面を示す案内板をたよりに歩いていきます。神引展望台〜唐人津城への道(神引遊歩道)よりは背の高い木が増え、木漏れ日の美しいトンネルのような細道を歩いていくと、御釜湾第一展望台に至ります。三階建ての少し高めの展望台です。
展望台からの眺めです。この日は天気が悪かったのですが、左奥に新島と早島(はんしま)が見えています。
少し右手には三宅島と御蔵島が見えます。
御釜湾第二展望台へ
第二展望台に向かいます。下は好天に恵まれた日の写真です。このあたりになると、松のような裸子植物以外にタブノキをはじめとする広葉樹も目立ってきます。
トレイル自体にも、ところどころ眺望が良さそうなところがあります。
ここは特に名所というわけではないようですが、独特な風情のある美しいスポットで気に入りました。朽ちた木が冬の西風で倒されてできあがった風景でしょうか。なんとなく三宅島の風景を思わせるところがありました。
第二展望台に到着しました。ここは第一展望台ほどは登りません。
あまり登らないけれど、眺望が素晴らしい展望台でした。神津島と、無人島の祇苗島(ただなえじま)が見えます。神津島の手前には、伊豆大島の筆島によく似たかたちの岩が突き出ていて面白いですね。
御釜湾第三展望台へ
第三展望台に向かいます。ここで1枚、縦写真。こういう鬱蒼とした小径の様子は縦構図のほうが雰囲気が伝わる気がします。ここはほとんど広葉樹中心ですね。
浜津城、という見慣れない地名が出てきました。はま・づしろ。手持ちの地図や観光パンフレットには一切登場しない名前なのですが、恐らく南部の「大崎」に向かうトレイルだろうと思います(地鉈温泉のちょっと西寄り)。唐人津城同様、城の跡ではなく、人や魚が集まった「づしろ」だったのでしょう。なお、帰り道はこの浜津城方面に向かっていってOKです(御釜湾遊歩道の入口に至ります)。
このあたりでは他にも「ネコネ場所 地元」という、謎めいた地名を示す案内板も見かけました。
さて、第三展望台だけややトリッキーな感じの場所にあり、御釜湾遊歩道から少しだけ外れた道を登り返す必要がありました。隈の井側から下ってくる場合、上の看板で「御釜湾遊歩道」と書かれている方向に、ちょっとだけ戻るのです。通りすぎないように気をつけましょう。
すると行き止まりにひっそりと第三展望台がありました。
天気も良かったせいか、3つの展望台のなかでここがいちばん素晴らしいと思いました。というか、私はここがいちばん好みでした。思わず「すげっ」と声がもれてしまい、たくさん写真を撮りました。式根島の海の色は、神津島寄りのコバルトブルー、新島寄りのエメラルドグリーン、両方がいい感じに混ざっている印象です。
全然関係のない山ではあるのですが、私はここで埼玉県の大持山〜小持山の大展望を思い出していました。開放感に似たものを感じたのかもしれません。式根島は「こんなに手軽にこんなにスケールの大きい風景が見られるのか」と驚かされるところが本当に多いです。
雰囲気の良い倒木(宙吊りになっているから浮木?)もたまにありましたが、全体的にはスニーカーでも歩けるレベルの道です。しかし唐人津城をたっぷり歩くことを考えると、やはりトレランシューズかミッドカットのハイキングシューズを履いていったほうが良いですね。私はこの日サロモンのトレランシューズで歩きました(唐人津城の斜面では滑りやすく、やや苦戦しました)。
さて、御釜湾遊歩道の入口に到着しました。とりあえずの終点です。
南側からこの入口を見ると、下のようになります。時計回りでこの遊歩道を歩く時、この入口は鬱蒼としていて少しわかりにくいかもしれません。でもほとんどの場合、反時計回りで歩くことになるのではという気がします。
このあと筆者は「野鳥の小道」を経由して出発点の神引展望台入口に戻ったのですが(島内の他の場所も回りたかったため)、時間に余裕のある方はこの御釜湾遊歩道をピストンで往復するのも楽しいのではないかと思います。
野鳥の小道を経て神引展望台入口に戻る
野鳥の小道、という短めのハイキングコースがあるらしいので、観光パンフレットを頼りに向かいました。「野鳥の小道はこっちです!!」みたいな看板はないので、観光協会などで手に入る地図資料は片っ端からもらっておいたほうがいいと思います。式根島は現地に行かないとわからないことが結構多くて、面白いです。
村道沿いにはヤブツバキがたくさん咲いていました。
下の写真で舗装の村道から左に分岐している道が「野鳥の小道」です。左下の藪の中に小さい案内板が埋もれているのですが、この方向から歩いてくると隠れていて見えません。
真冬ということもあってか鳥の声はほとんど聞こえませんでしたが、木漏れ日の美しい小径でした。
木漏れ日を利用して自撮りしてみました。ここが野鳥の小道の終点になります。
あとは式根本道から神引展望台入口に戻ります。クルマはほとんど通らず、たまに犬を散歩されている地元の方とすれ違う程度でした。レンタカーやレンタサイクルで観光しているように見えた方が2人、それ以外の観光客は私だけという感じでした。
式根島のハイキングコースを全部歩いた時の所要時間
この記事でご紹介した御釜湾遊歩道ですが、神引展望台入口からスタートしてぐるっと回ってくる場合の所要時間をセクションごとにまとめると次のようになります。
- 神引展望台入口〜唐人津城:20〜25分
- 唐人津城〜隈の井:15分
- 隈の井〜御釜湾第一展望台:10〜15分
- 御釜湾第一展望台〜御釜湾第二展望台:15分
- 御釜湾第二展望台〜御釜湾第三展望台:8分
- 御釜湾第三展望台〜御釜湾遊歩道入口:12〜15分
御釜湾遊歩道入口(この記事ではゴール)からスタート地点の神引展望台入口まで、野鳥の小道を経由して戻った時は30分くらいだったと思います。すると歩行時間だけ見ると2時間強。野伏港から神引展望台まで「展望トレッキングコース(出会い橋入口から入る)」を経由して歩いてきてもプラス1時間はかからないので、歩行時間に限って言えば全体で3時間くらいになります。
それに加えて、神引展望台に登ったり、唐人津城をたっぷり歩きまわったり、隈の井でお昼を食べてハイネズの芝生の上に横になったり、御釜湾の3つの展望台からの眺望もゆっくり満喫すると、プラス2〜3時間。ちょうどいい感じで一日かけて遊べます。
5〜6時間あれば、式根島の魅力の大部分を味わうことができるでしょう。私はその5〜6時間を2日間、2セット楽しみましたが、それでもそう遠くない将来、また式根島に行きたいと思っています。式根島は本当に素晴らしいところでした。
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