山の動植物

ワラビはシカではなく人間が天敵なのかもしれない(埼玉・秩父二子山にて)

埼玉県小鹿野町の岩峰、誰が呼んだか「クレイジーマウンテン」の異名がある二子山でワラビを見かけました。西岳登山口からクサリ場で有名な坂本下降点を目指している時で、送電線鉄塔を越えたところのこんな山腹道を歩いている時でした。写真下、左側の斜面です。

二子山・西岳登山道の送電線鉄塔近くの道

目立つ場所なのになぜ無事なのか

自分でもよく気付いたな、と思うのですが、ニョキニョキとワラビの群生が! いや、群生と呼べるほどの数でもなかったのですが、まばらに10本程度は見かけたように思います。根が地下で横に這っていくので、数メートル離れたところにもいくつか点在していました。時間は正午近くで、南東に開けた場所です。

二子山のワラビ

おいしそう… 沸騰させた水に重曹を入れて、さっと茹でてアク抜きして一晩さらしておいて… いや、それはルール違反だからやめておこう。しかしよく考えると、なぜこんなにスクスクと育っているんだろう? 目立つ場所なので、シカなどに食べられていないのが不思議です。食えるもんなら食ってみろ、といわんばかりに無防備に生えています。

二子山のワラビ

下の写真を見ると、アリさんだって何か嗅ぎつけているじゃないか。なぜだ。なぜ無傷なんだ… と思って調べてみたら、ワラビを苦手とする動物は結構多いらしい(参考:ワラビ中毒 – Wikipedia日本語版)。反芻動物のウシはワラビを食べると貧血や血液凝固不全を起こす。シカも反芻動物なので、本能または経験的にこれは食べてはいけないものだ、と知っているのでしょうか。

二子山のワラビ

し、新芽だー! か、かわいい… そして… おいしそう… 山菜そばに… かき揚げ… 天ぷら… おひたし…

二子山のワラビ

ワラビは日当たりの良いところ・酸性土壌・山の斜面などに生えるそうです。確かにこの送電線鉄塔付近の山腹道は南向きで、日当たりも良かった。この後も注意して眺めていたのですが、二子山でワラビを見かけたのはここだけでした。しかし、二子山は石灰岩質。石灰岩は弱アルカリ性だから、酸性土壌というのはワラビにとって必須条件ではないのか。それともここは少し酸性寄りの土なのか。

二子山のワラビ

シダ系の植物といえば、埼玉県では奥武蔵の柏木山が思い出されます。ゼンマイなどがたくさん生えている小径があって(「シダの道」という名前が付いている)、採っている人を見たことがあります(採って良い場所なのかどうかは知りません)。私は山菜が大好きなので、大っぴらに採取しても良い山があればいつか山菜採りをやってみたいと思っています。

子供の頃は、ワラビもゼンマイも苦くて全く美味しいとは思わず、大人はなぜこんなものを好んで食べるのだろう、と思ったものです。子供の舌は毒に敏感でそれを避ける、ということなのでしょうか。ブラックコーヒーやお酒がおいしいと思う年齢になってから、山菜も美味しく感じるようになりました。ワラビの天敵はシカではなく、人間かもしれませんね。

山菜つながりで言うと、この日は西武秩父駅近くのジビエ料理を出す居酒屋さんで、鹿肉とタラの芽の天ぷらを食べました。あれは美味しかったなぁ(秩父産ではないかもしれないけど)。

■ 撮影機材:LUMIX GF5 / LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09, OLYMPUS E-M5 III / 12-45mm F4 PRO(最後の1枚のみ)

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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