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MILLET SAAS FEE 30+5を買う前に知っておくべきこと【ややクセが強い登山ザック】

3.5

MILLET SAAS FEE(ミレー・サースフェー)30+5を使って1年ほどになるので、現在までの使用感を総括してみます。使ってきて良いと感じているところ、あまり良くないと感じているところ、両方あります。どちらかというと「好みの分かれるクセの強いザック」という印象があるので、購入検討中の方のご参考になれば幸いです。

MILLET SAAS FEE 30+5

基本的には30Lのザックですが、雨蓋が伸長式になっており容量を35Lまで増やせます。重量は平均1500gで、内部はジッパー操作で1気室・2気室にできます。レインカバー付属。チェストストラップはホイッスル付き。トレッキングポールホルダーあり、ハイドレーションシステム対応。

あまり良くないところ

MILLET SAAS FEE 30+5

最初にあまり良くない・使いづらい・ちょっと微妙かなと感じているところを列挙してみます。どれも私個人の主観なので、このように感じない人もいると思います。あくまでご参考まで。

  • 雨蓋には外側に2つ・内側に1つポケットがあるが、外側の背中側ポケット以外はモノがあまり入らず、3つある意味があまり感じられない(外は1つで良い気がする)
  • 背面には細引きを通せるループはあるものの、ここはオスプレイのようにレインウェアや地図等をはさめる大きいメッシュポケットのほうがありがたかった
  • 容量はテント泊ではやや不足気味、日帰りハイキングでは逆にオーバースペック気味で微妙(小屋泊向きと言われてはいる)。荷物が少ないと荷姿を美しく整えるのが難しい(このザックの可動式トップリッドはやや使いにくい)
  • 内部はあまりモノが入らないのでハイドレーションバッグを入れるとちょっときつい
  • ウエストポケットのジッパーは滑りが悪く(アールがきつい箇所があるので仕方ないこととはいえ)、開閉はしにくい(他社製品はもっと滑らかなものが多い)
  • 左側の縦長のサイドポケットの容量は微妙で(そして手が届かない)、左下のポケットもドリンクが挿せるほどの深さがなく、あまり使いみちがない(左右非対称にした理由がよくわからない)
  • ショルダーハーネスの厚み・形状のせいなのか、スタビライザーをかなりきっちり調整しないと肩が痛くなることがある
  • 左ショルダーハーネスのポケットは容量が小さすぎる。ペンライト・バータイプの補給食・Garmin eTrexくらいは入ると思うが、スマホは小さいものでもまず入らない。サングラスも相当小さいものでないと入らない。メッシュで伸びるタイプだったら良かったのだが…
  • ウエストベルトのサイドポケットは左側が拡張式で容量を増やせるが、右側はノーマル。これはむしろ両側が拡張式だったらありがたいという意見は多く、私も同意

良く言えば「至れり尽くせり」のザックではあるのですが、個人的にはあまり使わない機能(特にポケット)のために無駄な重量増に繋がっている印象が強いです。私が使用しているサイズSで1450gと決して軽量なザックではないので、ポケットの数を減らせば100gは軽量化できそうな気がします(2気室にするための仕切りも、このサイズなら不要かなと感じます)。

慣れたら便利だったところ

最初はかなり不便に感じたものの、慣れてきたら便利に思えたのは右のドリンクポケットです。歩行中はボトルを下の穴から抜き差しします。

MILLET SAAS FEE 30+5

しかしこのポケットに対応できるのは、先端がすぼまったボトル(下の写真のペットボトルのような形状のもの)です。サーモスやナルゲンのような、フタが幅広の水筒を下側から挿入するのは不可能です。

MILLET SAAS FEE 30+5

歩行中にザックを背負ったまま下からボトルを入れる時は、右手でこのポケットの下側を掴んで軽く開いておき、左手で持ったボトルを頭から入れます。この動作に慣れると便利に感じますが、コツをつかむまでは大変でした。現在は、水のペットボトルを水筒代わりに再利用してここに入れて使っています(市販のどんな水筒よりも軽量でおすすめ。しかもほぼ無料!)。

このドリンクポケット、個人的には両側に付いていてほしかったところ。

良いところ

MILLET SAAS FEE 30+5

欠点を多く書いてしまいましたが、良いところも勿論あります。例えば…

  • カッコいい(デザインが好み。完全に主観)
  • 縦に細いフォルムなので狭い岩場でもひっかかりにくい
  • ウエストベルトの左ポケットは展開すると小型のカメラや双眼鏡など、使用頻度が大きく、かつ結構大きいものがギリギリ入ることが多いので重宝する。交換レンズも入るものなら入れておくと便利(レンズ交換時にサコッシュ的にも使える)
  • 親指を引っ掛けるハンドレストは長距離の縦走時に使ってみると手のむくみ防止になり「これ良いなー」と思う(ただしトレッキングポールを常用する人には無駄な機能ではある)
  • ウエストベルトのサポート感は非常に良く、重量がうまく腰にも分散している感覚がある
  • 背負い心地は、調整がキマると多くの人が言うようにやはり快適で、メッシュパネルも通気性が良くムレは全く感じない
  • 岩場でよく擦っているが、ほつれ・破けの兆候はまったく見られず、かなり丈夫にできていると感じる

といったところ。あっ、短所より長所がちょっと少ない…

そもそも日帰りハイキングがメインの私がなぜこの30+5Lのザック(一般的には小屋泊向きと紹介されることが多いと思う)を買ったかというと、着替えやシュラフや多めの食料は持たない代わりに、写真や動画撮影用の機材がかなり多い日があるからです。他に気に入って使っている26L程度のザックもあるのですが、それだと容量不足になることがあるので買いました。

不満は多くありながらも、使いにくいポケットなどは使わなければ良いだけで、気に入っているところも多いので装備の軽量化が必要でない時は今後も使っていくと思います。しかしクセが強いザックだなぁとは思います。写真メインの山行では重宝していますが、急登・急下降が多く歩行時間も長いことが予想される時は、もっと軽量なザックを使っています。

ハーネスやベルトなど、とにかく手厚く豪華な印象。30〜35Lザックで運ぶ重量を考えると、ここまで手厚くする必要はあるのだろうかとも思うのですが、体力に自信がない方や、とても痩せている方にとっては疲労感や痛みが少ないのかもしれません。生地も厚手で丈夫なので、入門者でも不注意で破いたりすることは少ないと思います。そうした意味での安心感はあります。

背面長は3種類

ところでサースフェーにはS・M・Lの背面長が用意されています。私が使っているのはチャコール・ヘザーのサイズSです。SAAS FEEでは型番に「LD」と付くものは「レディース」=「サイズS」となるのですが、チャコール・ヘザーの場合はサイズSでも「LD」表記はありません。バックルがライトグレーのものは、ザックが何色でもサイズSです。

こちらはサイズMのゴールドクミンの例。サイズMなので、バックルが黒いです。このカラーも素敵ですよね。チャコールヘザーとゴールドクミンのどちらにするか、当時ものすごく悩みました。遭難時や夜間に目立つのはクミンのような明るい色です。私は動物の写真をよく撮るので、目立たないヘザーを選んだのでした。

著者
ヤムパパー

秩父・奥武蔵・奥多摩・伊豆諸島がホームグラウンドの低山ハイカー。動植物の写真を撮りながら歩くのが好き。日帰りメイン時々テント泊。著述家・翻訳家

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