大島・八丈島に次いで伊豆諸島では3番目に大きい三宅島。大島に引けを取らないダイナミックな火山景観が魅力です。その三宅島に「岡太楼本舗(おかたろうほんぽ)の牛乳せんべい」という銘菓があり、これが本当に美味しいものなのでご紹介します。写真はいずれも2023年11月、筆者撮影(2度目の訪島です)。
岡太楼本舗の場所・営業時間
まず岡太楼本舗の場所から。島北部の「神着(かみつき)」地区、三宅一周道路沿いのバス停「ナダード」のすぐそばです。隣には「三宅島歯科診療所」があります。深緑色の立派なファサードの建物が岡太楼本舗。右手には三頭の大きい牛のオブジェが映えます。
■ 岡太楼本舗周辺の地理院地図(拡大・縮小できます)。住所は三宅村神着1168です。
お店からそう遠くないところに、雄山環状林道に至る「三の宮林道」の入口があるので、そこを歩くときや島めぐりの前に立ち寄って、おやつ用に牛乳せんべいを調達しておくのもおすすめ。お隣の歯医者さんには飲料の自販機があります(ブラックコーヒーと合う!)。
岡太楼本舗は不定休。朝8時から夕方5時まで開いています。この牛乳せんべいは島の商店・おみやげ屋さんの他、東京愛らんどの通販でも手に入りますが、筆者が訪れた本舗は工場兼直売所になっており、焼いたばかりのホカホカの牛乳せんべいを試食させてもらえます。
ほんのり甘く牛乳とバターが香る
この日は入口のカウンターでお世話になっている知人への贈り物にどれを買おうか迷っていたところ、優しそうなお母さんが焼きたてを持ってきてくださいました(※写真は撮影許可をいただいています)。
ここでしか食べられない焼きたての牛乳せんべい。焼きたてだと、折れずに曲がります。ほど良い甘さで、絶妙な量のバターと牛乳の良い香りがします。なんとも優しい味わいです。
こちらも可愛らしいお母さんが右奥の銀色の機械でせんべいを焼かれていました。こちらでシート状に焼いたものを、あたたかいうちにカットしているのかもしれません。
壁には三宅小学校の生徒による工場見学記が貼ってあり、読むとこんなことが書かれていました。
おもしろくてすごくたのしいこうじょう見学をさせてくれてありがとうございます。とくにすごいなと思ったのはやくときのじかんとのたたかいです。あんなにはやくぎゅうにゅうせんべいをとるなんてぼくならできません。このことは、いつまでもわすれません。ぎゅうにゅうせんべいをつくっているみなさんへ
この2年生S・Y君の観察力と表現力が素晴らしいと思いました。牛乳せんべいをおいしく焼くのは、時間との戦いであるようです。こんなに的確で簡潔で気持ちが伝わる文章は、私には書けそうにありません。
牛乳せんべいには「缶入り・大箱入り・小箱入り・大袋入り・小袋入り」の5タイプがありました。私はカウンターの上にあった「大箱入り」の見本を見て、うっかりそれがいちばん大きいものだと思い、知人宅に「ゆうパック」で発送してもらったのですが(送料別)、後になって缶入りのほうが枚数が多かったことに気付きました。どんな缶なのか気になります。
下はお店の前の牛のオブジェ。背中に乗って記念写真を撮るのが人気らしいのですが、おじさんの私が乗ると不審者として通報されそうな気がしたので愛でるにとどめました。
ところでこの牛乳せんべい、味わいは勿論のことパッケージイラストも私は大好きなのです。「三宅島銘菓・牛乳煎餅」の漢字書体の雰囲気、牛のなが〜い角とちょっと不気味な目、抽象化された三宅島のシルエットと椿の花。これ、素晴らしい仕事ですね。レトロかつ未来的な印象を受けます。
この時は大久保浜キャンプ場で一泊したのですが、2日連続でお店に立ち寄り、おみやげのほかハイキングのおやつとしても購入。1枚12g・48kcalと軽くて行動食にもピッタリ。30分に1枚くらいのペースで食べていました。全然飽きません。
三宅島ではかつて一家に一頭と呼べるほどの牛が飼われていたらしく、岡太楼本舗さんはその頃から三代続いているのだそうです。三宅島郷土資料館では、私がキャンプ泊した大久保浜で牛が昼寝している写真も目にしました。島の歴史に思いを馳せられるおみやげでもあります。