下はOLYMPUS 35 DCというヴィンテージ・フィルムカメラです。1971年発売開始のレンジファインダーで、この個体も50年以上前のものと思われます。固定式のレンズは40mm F1.7、露出はプログラムオートで、撮影者に必要なのは構図を決めてピントを合わせることだけ(+1.5EVにできる逆光補正ボタン付き)。
筆者が手に入れたのは非常に状態の良い個体で、不具合はフィルムカウンターのみ(リセットボタンがモルトに埋もれているとかではなく、内部メカが壊れているようです。修理に出せばたぶん簡単に直りそう)。ズイコーレンズの状態も素晴らしく、シャッターボタン半押しで動作するファインダー内の露出表示も正確で、実際にかなり良好な露出具合で写真が撮れています。
しかし最近「あれ、露出計、壊れちゃった!?」と焦る事案がありました。
露出計が暴れる。原因はなんと…
ファインダー内の露出計の針が、元気に動いてはいるのですがいつもとは挙動が違い「そのF値とシャッタースピードだったら明らかに露出不足になるだろう」という数字を示すようになったのです。しかもカメラの角度を変えたり、ちょっとボディを叩いたりすると、露出がランダムに変わります。
まだ買って間もないのに、壊れちゃったか… 修理代は1〜2万円はするだろうな、とガックリ肩を落としました。フルマニュアルモードはないので、露出計が壊れたらただの文鎮です。
しかし山行から帰宅してネットで調べると、英語圏のフォーラムで「オリンパスの35系はホットシューに何か入っているとフラッシュが入っていると勘違いされて露出が変わることがある」という10年前くらいの書き込みを見かけました。
待て… まさかこれか! このカメラは裏蓋にメモホルダーがないので、複数のフィルムカメラのどれにどのフィルムが入っているか忘れないよう、ホットシューにフィルムの箱の切れ端を挟んでいたのです。
この紙を抜き取ってファインダーを覗き、シャッターボタンを半押しすると… おおお、直った! 適正な露出! 何の問題もない! まさかこれが原因だったなんて…
こんなこともあるんですね。しかし2024年の現在、50年前のフィルムカメラのこんなにレアな不具合について記事を書いたところで、誰の役にも立たない情報かもしれません。ただ、似たモデルの35EC/RCとかでも起きるかもしれないですね。