このブログでは、主にJPEG(Large Fine)で撮影した画像をMac OSの「写真」というアプリで、たまに色合いや露出を微調整したり、水平補正などをした上で、長辺1280pxにリサイズ(縮小)したものを掲載してきました(記事に埋め込んでいる画像は主に長辺1024pxですが、クリック・タップするとその1280pxの写真が出るようになっています)。
しかし、ある時からこの「写真」アプリで「リサイズ(縮小)」した写真の解像感が、時にはなんとなく、時にははっきりとわかるほどひどく低下していることに気付きました。最終的に、これは「写真」アプリのバグだと判断しました。
Macの「写真」とPhotoshop Elementsで出力を比較する
これからご紹介する例は、スマホの画面では違いが全くわからないかもしれません。しかしPCのディスプレイで各写真をクリックしてじっくり比較していただくと、違いがわかると思います。
まず直下の写真は、OLYMPUS E-M5 mark IIIにて、JPEG(Large Fine)・アスペクト比3:2で撮影したオリジナル写真を、Photoshop Elementsにて横幅1280pxに縮小・出力したものです(サイズ以外は無加工)。圧縮品質は 「標準画質」です。この写真は、ブログでハイキングコースの紹介用に使うのであれば個人的には「OK」な品質です。これを基準として考えます。
さて、下はMacの「写真」アプリで、同じJPEG写真を横幅1280pxに縮小したものです(サイズ以外は無加工)。PCの大画面でよく観察すると、全体的に「モワッ」として、木の枝は線が太く、シャープさが欠けているのがわかると思います。小枝の一本一本のほか「棒の嶺」という山頂標識に注目してもわかると思います(画像をクリックして拡大するとわかりやすいです)。
さすがにわかりにくいかもしれないので、部分を同じ比率で拡大して並べてみました。「棒ノ嶺」の「嶺」の文字に着目すると、「頁」という「つくり」が潰れかかっているのがわかると思います。そんなの大したことじゃないだろう、と思われるかもしれませんが、こういう現象が細かい枝にまで出ると、風景写真の全体がモワッとしてしまうのです。
シャープネスが落ちる、またはディテールが潰れるとも言えるこの現象は、MacOS Big Surの頃に気付いたのですが、その後にVentura 13.3.1(a)にアップデートしても改善されませんでした。また上の写真はJPEG品質「中」で出力していますが、品質を「高」や「最高」にしても、結果はほぼ同じです。つまり、圧縮品質設定の問題ではないのです。
さらにBig SurからVenturaにアップデートすると、「写真」アプリにはユーザーインターフェースの面で別の問題が次々と出てきて、全体的に使い勝手は前よりも悪くなってしまいました。
もう1つ例を出します。直下の写真は、やはりPhotoshop Elementsにて横幅1280pxにリサイズした駅の写真です。
下は同じ写真をMacの「写真」アプリで同じサイズにリサイズして出力したものです。「武蔵横手駅」という駅名看板を見ると、違いがわかる…かもしれません。微妙な違いではあるのですけれど。自販機を見ても、全体的にモワッとしているのがわかるでしょうか。
環境によっては違いが全然わからないかもしれないので、駅名看板のところだけ同比率で拡大して並べてみました。同じ圧縮率ですが、Macの「写真」では圧縮率が上げられているのかなという印象を受けます。
この問題の厄介なところは、先にも書きましたがMacの「写真」で圧縮率を低く、つまりJPEG品質を「最高」などにしてもまったく変わらないことです。たぶん縮小に関係するアルゴリズムがおかしいのです。元の写真を拡大してモワッとするのは理解できますが、縮小してもオリジナルよりモワッとする、というのは、あまり納得が行きません。
低画素のカメラでは起こらない不思議
この現象には、さらに不思議なところがあります。それは私が主に使っているカメラのうち、OLYMPUS E-M5 mark IIIで撮影したJPEG写真で発生するところです。もう1つのカメラ、LUMIX GF5で撮影した写真では、この問題は発生しないのです。GF5なら、Macの「写真」で1280pxに縮小出力しても、シャープさは失われません。
E-M5 mark IIIは有効画素数が2037万画素。GF5は1210万画素です。私はこの画素数の違いに原因があるのではと考えるようになりました。なお特定のレンズでこの現象が起こるわけではないことは確認済みです。
GF5で撮影した写真であれば、Macの「写真」でも、Photoshop Elementsでも、横幅1280pxにリサイズした写真の解像感はほぼ変わりません。どちらも十分に納得の行くシャープさで仕上がります。ディテールの潰れもありません。
ここから考えられることは、Macの「写真」アプリでは、画素数の多い写真ほど、リサイズすると解像感が低下するバグがある。縮小リサイズ時の圧縮アルゴリズムに何らかの問題がある、ということです。
だが低画素のGF5でも症状が発生した!
というわけでこの問題に気付いてから、山行ではLumix GF5を携行することが多くなりました。そしてしばらく満足していたのですが、最近また「あれ、なんかモワッとしてない?」と思うようになりました。
下の写真は、自分にとっては問題ないいつもの品質の写真です。JPEG撮影で、Macの「写真」に取り込んでから、色調補正は少し施したもの、そのまま1280pxで出力しました。
しかし水平線が少し傾いていたので、角度補正して出力しなおしました。それが下の写真です。これを見た時に「やっぱりモワッとしている…」と思ったのです。
岩肌のあたりを同じ比率で拡大し、並べてみました。これはわかりやすいと思います。ディテールが潰れています。
もうひとつ例を上げます。下の写真も、JPEG撮影・色調補正のみで1280pxに出力したものです。
これも水平線をまっすぐにしたかったので、角度補正して出力しなおしました。それが下の写真です。なんとなくモワッとしています。
部分を拡大して比べてみると、枯れ草のあたりで解像感が低下していることがわかりました。
これも「その程度は誰も気にしないだろう」と言われればそれまでですが、枯れ草の部分だけでなく、同じディテールの潰れが山肌や島のシルエットにも現れているのです。すると全体がモワッとした仕上がりになってしまいます。撮影者の私しか感じない問題かもしれませんが、少しでも良い写真を紹介したいと思っているので、残念なところです。
もっと良いアプリを使えば良いのだが…
そもそもデジカメを使うくらいの写真好きなら、もっと良い写真編集アプリを使うべきではないか、という意見はあると思います。MacOS付属の「写真」などは、まじめに写真を撮る人間が使うものではないだろう、と言われるかもしれません。JPEGではなくRAWで撮れ、という話もあるかもしれません。
10年以上前、私はAdobe Lightroomを使っていた時期がありました。その後、自分の使い方には合わなかったので、Appleの「Aperture」という有料アプリに乗り換えて、長らく使っていました(とても気に入っていました)。しかしApertureはサポート切れになって使えなくなり、Adobeの年間サブスク料金も馬鹿にならないので、写真管理はMacの「写真」で行い、簡単な調整も「写真」で行うようになっていました。
撮影も、ハイキングコース紹介をしたい時は大量に撮影するので、基本はJPEGです。RAWを使うのは大きい調整幅を持たせない時など、稀です。
Macの「写真」アプリは、大量の写真を整理したり、キュレーションする時に便利なだけに、ちょっと残念です。
いつか治ると良いのですが、近年のApple製品はどれも良くなった試しがないので、このままかもしれません。「写真」アプリには他にもいくつかバグや使いにくさがあり、ライブラリに取り込まれたオリジナルの写真の場所も非常に探しにくいです。また一度「写真」アプリに取りこんでしまうと、一切編集せずにオリジナルサイズで書き出しても(E-M5 mark IIIだと)解像感が低下してしまいます(私の場合。ハードウェア環境とも関係があるのかもしれません)。
同じデータセットなのに、アプリ上で写真を大きく表示した状態で出力した場合と、一覧上のサムネイルを選択して「Command + Shift + E」で書き出しする場合とでも、解像感が違うことがあります(これはさすがにおかしい)。しかも、問題が発生する時としない場合があります。
影響が非常に大きいのは、手前に大きい被写体がない風景写真です。ある程度大きいものが画面の中央付近にあるとか、クローズアップ写真であれば、この解像感低下・ディテール損失の現象は起こりにくいです。
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