DoD ライダーズワンポールテント(型番T1-442-TN・タンカラー)のレビュー記事です。文字通りワンポールで設営できるダブルウォールのテントです。実際の設営をなぞりながら、製品の特徴と私の感想を書いていきたいと思います。これは本当に買って良かったコスパの高いテントで、重さが問題にならない時はこれからしばらく一軍として使うことになりそうです。
腰痛予防に買ってみた
主な購入理由は、腰痛予防です。高さが頂点で183cmあるので、出入りする時や着替えの時に腰を大きく曲げる回数を減らせます。ささっと眠るだけのテント泊ならこれでなくとも良いのですが、複数日にわたって滞在する拠点をつくり、じっくり歩いてのんびりキャンプも楽しみたい時に主に活躍しています。
大きくて重め(2.6kg)のテントですから、これを担いで2000mの山に行ったりすることはありません(そういう時は寝るだけ用の軽量テント、と使い分けています)。
組み立てながら見ていこう
まずは完成時の姿をご紹介します(下の写真)。五角形の中半分がインナーテントで、残り半分が物置や休憩など自由に使える空間になっています。フライだけで使うのもあり。ドアはタープにもできます。ポール1本とガイライン7本、最低限のペグと収納袋が付属。別売りでグランドシートも発売されていますが、690g(公称重量)と重いので私はいまのところ単体で運用しています。
最初にフライシートのベルトを地面にペグで固定します。このベルトの構造は、私が買った時に付属していた取説には説明がなかったのですがDoD公式サイトのオンラインマニュアルには記載があるので「どうやって輪っかをつくるんだろう」と悩んだ方は読んでおいたほうが良いでしょう。
上の写真では、付属のペグが折れています。強度は弱めで、1本すぐ壊れました。また、使用中に曲がってしまったものもありました。高さがあるテントなので、強風を受けるとペグへの負担が大きいのだと思います。できれば長めで丈夫なペグに交換するのがおすすめです。
さてフライシートの五隅をペグダウンしたら、ポール(バンジーコード入り)を組み立てて中央のまるいところにあてがいます。ペグダウンする時は、ポールで持ち上がった時のことを想像して少し緩めに張ります。これは何回かやると感覚でつかめてきますが、別売りのグランドシートを使うとペグダウンの位置は悩まずに済むそうです。
ちなみに取説には「最初の手順」として「フライシートとインナーテントを接続する」よう書かれているのですが、私の感覚では最初にフライシートをここまで組んだほうが作業は楽でした。この記事では私がいつもやっている設営方法でご紹介していきますね。
フライシートが立ち上がったら、インナーテントとフライシートを天井あたりでバックルで接続します。その後、5ヶ所あるインナーテントのフロアループのうち、4ヶ所をフライシートのペグに引っ掛けます(写真下)。テントの内側から作業できます。
インナーのループ1ヶ所だけ(写真下)は単独でペグダウンが必要です。ここはたまにうまく形が整わない(ピンと張らない)こともあるのですが、あまり気にしていません(私はどうやってもうまく行かない時があります)。
するとこんな感じでゆる〜く立ち上がります。そうしましたら、フライシートのベルトの長さを微調整したり、必要ならペグを打ち直して位置を微調整し、フライの底辺がなるべくピッタリ伸びるようにします(この時、ドアの入口のジッパーは締めておいたほうが良いです。引っ張りすぎないようにするため)。
それが終わったら(終わってからでなくとも良いですが)、インナーテントに「トグル」という棒状のパーツがあるので、これをフライシート内側にあるリングに通します。3ヶ所あります。これをやらないと、インナーテントがダルダルになってしまいます(※これを使ってインナーテントの入口をカーテン状にすることもできます)。
あとはガイロープ(ストームロープ)をピンと張って完成です! 5本のガイロープがあらかじめフライシートに取り付けてあるので、初回から手間なく設営できます。
できあがったインナーテントの内部の様子です。購入前に想像していた以上に広々としていて、着替えなどの荷物も十分に置けます。頭はどちらが前でも後ろでも構わない感じです。
インナーテントの出入り口はT字型のジッパーになっていて、縦と横の一方を開くと出入りできます。ここのジッパーは滑りがよく、ストレスなく動かせて好印象。
しかしフライシートのドアのジッパーは、ベルクロテープにひっかかったり、そうでない時でもフライを噛み込むことがあります。これはフライの片方を引っ張りながらジッパーを動かすと回避できるようになりました(すぐ慣れました)。ジッパーはこれでも動きが良いほうと言って良いと思います。十分合格。
大きいベンチレーションが上にあります。
下はフライシートと地面とのあいだの隙間がどれくらいあるかを撮ってみたものです。これがわりとありまして、豪雨だと吹き込みがあると思います。あと強風だと土や砂が入ってきます。通気性を考えると仕方ないところかもしれませんが、カラスや野良猫もぎりぎり入ってこれそうな気はします。
ドアにはグロメット(ポールを挿せる穴)が2つあり、自前でポールを用意すればドアをタープのように使えます。ここの分のガイロープは別途2本付属しています。発想次第で目隠しのようにも運用できたりもします。
私が使っているのは下の記事で紹介したFIELDOORのアルミテントポール。高さ150cmでちょうど良く合います。
収納袋に入れた様子がこちら。フライとインナーをそれぞれ半分に折りたたんで、ポールとペグ類(どちらもポーチ付属)を包むようにして入れる… のが手順だそうですが、雑に畳んでも入ります。キツキツでも余裕があるわけでもなく、ジャストフィットという感じです。コンプレッション用ベルトが2本付属しています。
収納した状態で横幅が50cmあり、重さもコミコミで約2.6kgあるのが最大の弱点、というかネックです。しかし横幅が長くなるのは付属のポールの各枝の長さが50cmだからで、ポールをこの袋に入れなければフライとインナー自体は少しだけコンパクトにできます。
現時点での総合評価は…
総合的な感想としては、ドアもインナーテントもとにかく出入りが楽。着替えもなんとか立ったままやれるので腰への負担が少ないです。ヘリノックスのチェアにiClimbのミニテーブル、奥にザックを置いてもまだまだ余裕があります。ドアをタープ代わりにしなくても、この状態でお湯を沸かすのも簡単です。
でもドアをタープにすると快適性はさらに向上しますね。
短所的な面をあらためてまとめると、
- フライをどのあたりでペグダウンするか慣れるまで迷う(グランドシートなしの場合。ドーム型テントより時間はかかる)
- フライのジッパーをひっかからないように動かすのに少しコツがいる
- フライと地面とのあいだが少し広いので雨や砂埃などが吹き込みやすい構造ではある
- 収納時にかさばる(横50cm)・重い(収納袋とコンプレッションベルト2本で実測120gある)
などでしょうか。あとは、付属のペグが力不足。私は西風の強烈さで有名な新島(東京・伊豆諸島)の羽伏浦キャンプ場(海の近く)でこのテントを使った時、ものすごい強風だったせいかペグが1つ曲がりました。風を受ける面積が大きいのでこれも要注意。しかしフライとストームロープをきっちり張れば、崩壊することはないと思いました。
付属のアルミポールは細くて頼りなさげではあるのですが、新島の風をクリアしたことで最低限の強度はあると思いました(暴風の時にたわんでいましたけれど)。なおアルミポールの長さは組み立てると187cmになります(実測値)。
防水性については、私はまだ小雨程度にしか降られていないので語れないのですが、浸水しやすいという情報を若干見かけます。取扱説明書でもシームシーリング材の使用が推奨されているので、縫い目にはできれば使用開始時から自分で塗布して補強しておいたほうが良いかもしれません。私はあらかじめシームグリップを使いました。
キャプテンスタッグが国内で販売しているシームグリップは刷毛が付いていて便利です。乾燥に半日かかり、このテントは大きく家では作業しにくいので機会のある時に早い段階でやっておくと良いでしょう。
15000円前後という実勢価格を考えても、かなり満足感が高いワンポールテントです。ペグやポールは必要に応じて好みのものに換えていけば良いですし、運用を工夫することで快適度をさらに上げる楽しみもありそうです。
設営は超初心者向けではないかもしれませんが、居心地の良さは初心者の方も大満足ではないかと思います。ミニマルに使ってもゴージャスに使っても、どちらも楽しいテントですね。
購入時の注意点として、Amazonでグランドシートがセット販売されているのですが、五角形の本テントに対してなぜか六角形の違うテント用のものが送られてくるようなのでご注意ください(2023年12月時点)。
グランドシートはAmazonの別のページで専用品(型番GS1-820-GY・ムシャテントにも対応)が売られています。これがあるとインナーテントのフロアが浸水しにくくなり、空き地に荷物を置いても底が露で濡れず、ペグダウンも簡単になるというメリットがあります。デメリットは690gという重量ですが、快適性重視の時なら使いたいですね。