日向山とは
日向山(ひなたやま)は西武秩父線・芦ヶ久保(あしがくぼ)駅のすぐ北にある標高633mの低山。駅からの周回なら2時間強で戻ってこられるため、ハイキング初心者の方には安心のコースです。美しい雑木林の山で、南面に開けた山頂には芦ヶ久保駅前や横瀬二子山・武甲山のかなり良い眺望が開けます。日当たりが良く、ピクニックにも好適です。
時間と脚力に余裕があれば、お隣の丸山(標高960m)も一緒に登ってくるのが良いでしょう。この記事では、筆者がまず丸山に登り、その後日向山に立ち寄ってから芦ヶ久保駅に降りた日の歩行記とともに、日向山の様子をご紹介します。
日向山へのアクセス情報
日向山の最寄り駅は西武秩父線・芦ヶ久保駅。駅から登るルートは東の横瀬町農村公園側から、または西の芦ヶ久保大観音(源寿院埼玉別院)側からの両方考えられますが、農村公園までの道のりは丸山の紹介記事に詳しいのでそちらをご覧ください。芦ヶ久保駅から周回する場合は約5km。
■ 日向山周辺の地理院地図(拡大・縮小できます)
所要時間が短いのでお昼頃から登りはじめても余裕を持って楽しめることでしょう。
私が歩いた日向山
2023年1月中旬のこの日、筆者はまず丸山に登り、往路の丸山南東尾根コース(矢越尾根)に戻ってきました。尾根道から少しだけ離れたところに目立たない大日如来があり、そこに日向山への分岐道があります。下の写真の奥側が丸山方面、左側が日向山方面になります。
丸山から下ってくる時に見た図。ここで分岐するわけです。案内板が出ているのでよく見ていれば迷いません。
このあたりはまだ杉林。道は特に悪くはありませんが、良くもありません。
ふたたび案内板があります。先の分岐からここまでの距離は600〜700mといったところ。
やがて三叉路の車道に出ます。これは林道丸山線で、右に行くと埼玉県県民の森・丸山。左に行くと日向山・あしがくぼ山の花道・芦ヶ久保駅方面。日向山も丸山も、頂上近くまでクルマで上がっていけます。直進すると埼玉県道11号に至ります。今回は左へ下っていきます。
三叉路には日向山と「あしがくぼ山の花道」周辺のハイキング地図があります。山の花道は春ならカタクリやヒトリシズカの花を楽しめます。これから地図上の赤い点線を辿って日向山に登り、芦ヶ久保駅に下っていきます。
車道を下りはじめてすぐ右手に、いかにも気持ち良さそうな登山道があります。ただ、ここには登山口を示す看板はありません。日向山にはもう少し先にある山の花道の駐車場(トイレと自販機あり)からも登れるのですが、丸山からならこの道を通るのがおすすめです。なお右側に山の花道への分岐があるので、間違えないようにしましょう。
尾根道を登っていくと左手に山の花道の駐車場が見えます。あそこから直登して合流する道もあるわけです。
この尾根道は開放感があって素晴らしい。奥にこんもりと見えているのが日向山です。
山頂前に木段があります。距離は長くないので頑張りましょう。脇道を通ったほうが歩きやすいかもしれません。
開けた山頂が見えてきました。先の登山口からここまでは30分弱です。
頂上に着きました。かなりの広さで、棒ノ折山の山頂を思わせる広々とした空間です。日向山頂は手元にある地図や本、地理院地図では633mとされているのですが、看板には627mとあります。
南側の山座同定に役立つ立派な展望盤があります。
木造りの高さ1mの見晴台があり、この633mにこの1mを足すと634mとなり、東京スカイツリーと同じ高さになるのだとか。
スカイツリーと同じ高さに立ってみました。丸山山頂同様、武甲山が映えます。
こちらは横瀬二子山。ふもとに芦ヶ久保駅が見えます。
展望を堪能した後は山頂から尾根道を西進し、T字路で左折すると下りがはじまります。急下降とまではいかないものの、段差が大きいところもあります。途中から左手にシカ避けの網も出てきます。
下り終えると獣柵があるので、自分で開閉します。丸山に登る時に見たものと全く同じイラストの注意書きがあります。このあたりは畑が多いので、確実に閉じておきましょう。
一旦、車道に出ます。これは先の三叉路から通じている丸山林道です。この道は左に行くと先の「山の花道」の駐車場を経て丸山の下まで通じています(丸山から先、大野峠までは通行止め)。
振り返るとそこには琴平神社が。隣には東屋とトイレがあります。
ここから武甲山に向かって歩いていくと、車道を左に下っていくことになります。この舗装路はやがて「風の道コース」に至ります。このあたりだけ少し悩むかもしれません。丸山林道を右に降りていくと横瀬駅のほうまで行ってしまいます。
ここが最後の尾根道なので、じっくり味わいながら歩きます。このあたりの里山風景は少しだけユガテを思わせるところがあります。ユガテに劣らぬ桃源郷的な雰囲気です。
日向山の大きい特徴はやはり雑木林を楽しめるところでしょうか。丸山もそうですが、コース全体を通じて岩場がほとんどないところも特徴かもしれません。
反沢という沢に架けられた短い石橋を渡ると、そこは源寿院(げんじゅいん)埼玉別院の敷地になります。左折します。
開けた土地に、立派な観音様の後姿が見えてきました。これは芦ヶ久保駅や西武秩父線の電車の中からも見えるものです。
芦ヶ久保大観音と呼ばれ、地上高18.5mもあります。最近手に入れたSUMMILUX 9mm/F1.7という超広角レンズでじっくり撮影します。
この観音様、よく見ると正座しています。珍しいですね。両脇には対象形の蓮の花。
凛々しくも優しさの感じられる観音様です。
芦ヶ久保の町を見守るような方向に据えられています。
帰路につきます。ここからは道なりに下っていくだけで芦ヶ久保駅に辿り着くでしょう。源寿院前の坂道はなかなかの急下降です。
到着した芦ヶ久保駅には「道の駅果樹公園あしがくぼ」が併設されており、メニュー豊富な食堂のほか、秩父産の野菜販売もあります。最近食べたものの中では「横瀬ラーメン」がおいしかったので是非お試しください。あと私はよく地元産のネギやシイタケを買って帰ります。東京の近所のスーパーで買うものとは比べ物にならないくらいおいしい野菜がたくさん売られています。
日向山は一言で言うと「ほのぼの癒やし系」の低山ハイキングコースと言えるでしょう。隣の丸山も含め、歩きにくい岩場もなく、美しい尾根道歩きを楽しめます。日向山だけ歩くなら春は「山の花道」でカタクリ・桜・すみれといった花々を、秋は紅葉をのんびり愛でて、山頂や山腹で何もせずにゴロゴロするのも良いでしょうし、丸山まで足を伸ばしても良いでしょう。冬期にはあしがくぼの氷柱もあわせてぜひ。
冬期でも積雪はなく、丸山も含めてスニーカーでも歩ける山かとは思いますが、ザレで滑るところはあるので少なくともローカットのハイキングシューズ、トレランシューズは必要です。